出版社内容情報
一茶(一七六三‐一八二七)は晩年にいたるまで作句力の衰えを知らず生涯に約二万句の俳句をのこした.ここにはその中から二千句を選んで制作年代順に配列し脚注を付す.順をおって本書を読むことは句を通して一茶の生涯をたどることに他ならない.その句は詩人の生きぬいた苛酷な人生を反映し,鮮烈にして個性的な「人生詩」となっている.
内容説明
一茶(一七六三‐一八二七)が生涯に残した約二万句の俳句から二千句を選んで制作年代順に配列し脚注を付した。その句は一茶の生きぬいた苛烈な人生を反映し、鮮烈にして個性的な「人生詩」となっている。本書を読むことは句を通して一茶の生涯をたどることに他ならない。
目次
寛政期
享和期
文化前期
文化後期
文政前期
文政後期
年次不詳
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
新地学@児童書病発動中
109
一冊の句集なのに百冊の小説を読んだ心地になった。一つ一つの句の中に一茶の生涯が凝縮されている。一つの句を読むたびに、それが書かれた背景を思い浮かべて、微笑んだり、泣きそうになったり、溜息をついたりで、心が激しく揺さぶられた。苦労の連続で、気の休まることがなかった生涯がここに収められた俳句を読むことでまっすぐに伝わってくる。これらの俳句は、一茶が体当たりで人生にぶつかって生み出された作品なのだ。彼の血と涙で書かれているので、一度読んだら忘れられないほどの印象を残すのだろう。「最う一度せめて目を開け雑煮膳」→2016/11/30
tom
13
歳を喰って再婚をして、子どもを作るが、妻も子も死んでいき、残ってるのは自分一人。それをサラリと俳句に書いていて、それはそれで凄いこと。こうなってしまうのですねと思いながら読んだ俳句集。若いときの作品から順番に読んでいくことで感じる変化というのも、なかなか面白い。でも、こういう俳句集を読んで、俳句の良さを感じる能力がないということも実感した本でありました。2018/12/04
KAZOO
9
一茶の手ごろな俳句集というとあまりありませんが、この文庫本は非常にいいと感じています。余分な解説はなく、若干の注釈だけでひたすら2000の俳句を年代順に並べてあるだけですが、一茶の俳句の傾向が非常によくわかりました。解説に掲載されていたのですが、2万の俳句をものにしたということで、芭蕉や蕪村とはまた違った意味で感心しました。2012/03/31
moonanddai
7
何となく好々爺然としたイメージの一茶でしたが、俳諧師として、親としてそして爺として、色々な側面があるのが分かりました。ふと再認識したのが有名な「ちう位也」。どうやら、この「ちう」は、上中下の中ではなく、信州方言での「あやふや」「どっちつかず」といった意味のよう…。強いて漢字を当てれば「宙」か…。この年の暮れの句「ともかくもあなた任せの年の暮れ」と合わせて読むとよくわかります。「阿弥陀さんよろしく」といった感じでしょうか…。2021/07/18
自然堂
5
俳句ってのは今で言う旅先で写真撮ったりするのと同じなんだな、と。その俳句を読む事で、自分の情景というフィルターを通して一茶の見た景色や、情感まで感じる事ができた(気がするw)。紙と筆だけあれば成立するものなのに、写真よりも情報量が多いと感じるのが面白い。同時代に生きていない人間の著作を読むとその作者の顔が見えない事が多いが、一茶の俳句は五・七・五のたった17字から人間臭さを感じて、プロトコルが違うだけで今も昔も人の考える事なんて同じなんだな、と思える。あと、たまに顔を出すゲス俳句に変な同族意識が芽生えるw2013/12/29