出版社内容情報
「漢詩」という外来の文体に，詩才を競いあって生まれた王朝の漢詩は，漢字による表現の困難さを克服しつつ，王朝びとの詩心を表出した成果にほかならない．七―十二世紀に創られた詩は三千余首にものぼる．その中から一七○首を厳選，訓読文と現代語訳・注釈を付し，先人たちの巧みなまた愛すべき詩を味読できるよう配慮した．
内容説明
「漢詩」という外来の文体に、詩才を競いあって生まれた王朝の漢詩は、漢字による表現の困難さを克服しつつ、王朝びとの詩心を表出した成果にほかならない。７～１２世紀に創られた詩は３０００余首にものぼる。その中から１７０首を厳選、訓読文と現代語訳・注釈を付し、先人たちの巧みなまた愛すべき詩を味読できるよう配慮した。
目次
１ 王朝以前の漢詩（述懐（大友皇子）
遊猟（大津皇子）
臨終（大津皇子）
山斎（中臣大島）
述懐（文武天皇） ほか）
２ 王朝の漢詩（賦桜花（平城天皇）
神泉苑花宴賦落花篇（嵯峨天皇）
春日遊猟日暮宿江頭亭子（嵯峨天皇）
和左金吾将軍藤緒嗣交野離宮感旧作（嵯峨天皇）
和左衛督朝嘉通秋夜寓直周廬聴早雁之作（嵯峨天皇） ほか）
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
しゅてふぁん
27
王朝以前(奈良朝末まで)の漢詩はそれ以降のものと比べて小難しく感じた。優雅で柔らかい印象を受ける和歌と比べると、漢詩は無機質な印象。印字された漢字の羅列だからかな。冷たい…じゃなくて涼やかというか、静かで清らかだけど、どこか寂しい感じがする。中国古典の漢詩とは違い（中国の歴史に詳しくないので）時代背景や作者の来歴がわかるだけに、心情を吐露した作品は心にグッととくるものがあった。道真の太宰府時代の作品はとにかく切ない。2018/02/10
壱萬弐仟縁
9
原文→書き下し文→口語訳の順番。気に入ったのは音読。今の時季の歌として、２９の嵯峨天皇の「神泉苑九日落葉篇」はいい感じ（９６頁～）。９５の島田忠臣の「病後閑座偶吟所懐」は、生き死にも運命、という、先ほど読んだ『列子』のようである。本詩は『荘子』から影響されたようである（２８８頁）。菅原道真も各種あり。善宗の「病累（やまひかさなりて）」（３８０頁～）。病になるは、借金残るはで、踏んだり蹴ったりの詩の模様。2013/08/27
丰
0
Y-202007/07/16
掬水
0
自害前に大津皇子が作成した形式の整っていない詩が印象的でした。2024/01/24
