岩波ブックレット
3・11以後何が変わらないのか

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  • サイズ A5判/ページ数 87p/高さ 21cm
  • 商品コード 9784002708638
  • NDC分類 543.5
  • Cコード C0336

出版社内容情報

原発事故の原因究明と処理の仕方,被災者・避難者への賠償や生活支援,「復興事業」の手法を見るとき,そこへと至った過去の過ちや手法が繰り返されているようにみえる.変わらないのは何か.なぜ変わらないのか.こうした課題が集中的に現れている沖縄と福島の現在と,日本,米国,東アジアのグローバルな歴史的状況から考える.

内容説明

原発事故の原因究明と処理の仕方、被災者・避難者への賠償や生活支援、「復興事業」の手法を見るとき、そこへと至った過去の過ちや手法が繰り返されているようにみえる。変わらないのは何であり、なぜ変わらないのか。こうした課題が集中的に現れている沖縄と福島の現在と、日本、米国、アジアのグローバルな歴史的状況をふまえ、二つの討議から考える。

目次

第1部 「オキナワ」と「フクシマ」から考える―振興・開発至上主義からの「自立と自治」(現状と課題をめぐって;琉球と東北、その歴史的背景;基地と原発;自立と自治へ―今後の展望)
第2部 二つの「敗戦」から考える―戦後日本の「独立」六〇年にあたって(二つの敗戦―何が同じで何が違うのか;これからの日本を考える視点;日米安保と沖縄;東アジアのなかで)

著者等紹介

大澤真幸[オオサワマサチ]
1958年生まれ。社会学者。千葉大学文学部助教授、京都大学大学院人間・環境学研究科教授を歴任。著書に『ナショナリズムの由来』(講談社、毎日出版文化賞)など

松島泰勝[マツシマヤスカツ]
1963年、琉球・石垣島生まれ。龍谷大学教授。島嶼経済学。NPO法人ゆいまーる琉球の自治代表。在ハガッニャ(グァム)日本総領事館、在パラオ日本大使館勤務等を経て現職

山下祐介[ヤマシタユウスケ]
1969年生まれ。首都大学東京准教授。都市社会学、地域社会学、環境社会学。弘前大学人文学部准教授等を経て現職

五十嵐武士[イガラシタケシ]
1946年生まれ。東京大学名誉教授、桜美林大学教授。比較政治、アメリカ政治外交史

水野和夫[ミズノカズオ]
1953年生まれ。エコノミスト。埼玉大学客員教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ちー

12
オキナワとフクシマと。3.11と8.15と。あの3.11を契機に日本が見ようとして蓋をしてしまった事象を考える。もともとは二日間のシンポジウム(対談)をまとめたブックレット。何よりも強く言われていたのはオキワナの基地問題のこと。原発と同じように金銭によって押し付けられている。沖縄では県で決まった法律でも国会で否決されると成り立たないというように独自の法律が敷かれている。独立をすべきではないのか、という訴えだ。差別意識のない差別が最も恐ろしいと言う。沖縄の基地を移すのは賛成。けれど自県には反対という差別。2013/12/05

壱萬弐仟縁

12
米軍基地問題の沖縄、原発事故問題の福島。両者を繋ぐ発想に感服した。極めて大切な論点で、人間の安全保障(HS)は憲法を基礎としていることも理解される。弱い者が、誰かが、犠牲になるシステムはもう終わりにすべきだと痛感した。原発は安全詐欺(28頁)との指摘は、HSに反する。水野先生は、「重要なことは、過去のシステムを維持するために作った借金は過去のシステムで返済し、新しいシステムに負わせてはいけないということ」(68頁)と指摘される。これは、日本の1000兆円を超えるとされる借金問題に通じる。将来世代が気の毒。2013/05/19

T坊主

6
1)一つの国だけで発想できなくなったというのが、グローバル化で、その行き着く先は保護主義、近代自身がアンチ近代を作り出す。2)ベースの所で既に起きている矛盾があり、それを何とか金とか開発の利益で糊塗しようとするが、そういう方法が完全に間違っており、矛盾をより強化する。3)原発を絶対安全だと言って推進してきた連中は”安全詐欺者”巧妙かつ強引。4)福島は被災した事により、原発経済から離れられなくなった。5)資本主義に未来があるとしたら、収縮や分配の為の資本主義なら可能性はある。6)沖縄問題は地政学の問題もある2013/05/27

Takao

2
2013年2月6日発行(初版)。本書の成り立ちは、富山県・利賀芸術公園でおこなわれた演劇公演「SCOT Summer Season 2012 鈴木忠志の世界」(2012/8/24-9/2)における連続シンポジウム「〈何が〉変わらないのか⁈ 〜〈三・一一〉以後の〈ニッポン〉」。第1部は「『オキナワ』と『フクシマ』から考える」、第2部は「二つの『敗戦』から考える」。TPPへの参加をすすめる水野和夫、日米安保再定義に関わった五十嵐武士など自分とは違う考えの論者の発言も参考になった。2019/02/15

toshokan-no-hito

1
8.15(終戦記念日)と3.11(東日本大震災)の違いは日本人が日本人として何を為すべきかという視点に立っている、という考えの新鮮さに瞠目。2013/02/28

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