出版社内容情報
われらの時代の最大の科学のドラマ,分子生物学の誕生と生化学の確立に深くかかわった科学者が自らの研究生活を回想し,現代科学文明を鋭く批判,そのあるべき姿を示す.「青春の文学」とまで評価された自叙伝の傑作.
内容説明
われらの時代の最大の科学のドラマ―分子生物学の誕生と生化学の確立に深くかかわった科学者が自らの研究生活を回想し、現代科学文明を鋭く批判、そのあるべき姿を示す。世紀末ヴィーン、二つの世界大戦を含む激動の時代のベルリン、パリ、アメリカの諸都市の様相も活写され、「青春の文学」とまで評価された自叙伝の名著。
目次
理性の熱病
白き血、紅き雪
居心地悪さの効用
内部のアウトサイダー
子供が外出するには悪い夜
より愚かに、また、より賢明に
砕かれた断片をほめたたえて
学部とその持主
幸福な家族と、その不幸な家族員たち
名前と顔の大海
太陽と死
純銀製のメダル
年に見合って払え
熱さと灰色のもとでの
世界住来からの知識の増大〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
やいっち
70
ワトソンとクリックがDNA二重らせん構造を提唱したが、そのお膳立てをしたと言っていい生化学者、分子生物学者。だが、尋常じゃない素養の持ち主だった。十数か国語を操る。原典主義。原著者の表現表記をとことん尊重する。自負している業績ほどには評価されてないようだ。長く務めたコロンビア大学からも定年で普通にさよならされた。本人としてはもっと厚遇されてしかるべきと思っていたようだ。2021/01/01
カパルア
2
興味を待ったものの絶版になっていて半ばあきらめていたが、学校の図書館でたまたま見つけ読むことができた。うちの学校の蔵書はすごいですね(小並感)。副題にある通り、現代科学への批判がこの本の大きなテーマとなっているが、それ以前に本書はE・シャルガフの回想録でもある。彼の人となりや人生観が垣間見える文章が素晴らしかった。自身でも「科学者にならなければ言語学者になっていた」と語るように、広く深い教養を感じさせるウィットに富んだ文章で、その洗練さを毒さない訳者の語彙にも感心させられた。そんな文章を読むことが何より2013/11/09
しまゆう
2
「科学」の変容について。著者は「科学者」と「専門家」を線引する。曰く「科学とは自然の中の探索可能な部分についての真実を学ぼうとする試みである」(p264)こと生物学に置いてはどうだろうか。何かを「創造」することは科学としての生物学の営みの範疇であるのか。その創造の是非が問われる。創造する時はつまり技術者(職業としての科学)としての存在でしかないのでは?生物学に創造は必要なのか?生物学としての科学について定義は非常に難しい。他を愛することを分析するのは科学として成立しうるのか、果たしてそれは意味のある科学な2013/08/05
空飛び猫
2
科学者と技術者。 真理と説明。 教養、の欠如。 暴走しつつある、世界の原因。2012/10/26