出版社内容情報
世に名高い儒者や文人たちが垣間見せるさりげない日常の姿,奥ゆかしく描かれる人生の真実.数ある作品の中から厳選して,表題作のほか,「蓬左狂者伝」「落栗物語」「逢原記聞」「泊〓筆話」を併収する.
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
きさらぎ
4
江戸時代を中心とする人物伝・体験談の類を収める。「在津紀事」(頼春水の上方滞在記)が読みたくて手に取ったが、岡野逢原(水戸藩士で立原翠軒の弟子)「逢原記聞」、清水浜臣(賀茂真淵の孫弟子)「泊洦筆話」、大田南畝「仮名世説」なども中々に面白かった。春水は特に強烈な個性の持ち主という訳ではないが、京摂では広く人と交流し受け容れられた「愛され系」の人という印象。中井竹山・履軒兄弟や古賀精里、葛子琴、片山北海、尾藤二洲などが登場するが、扱いはいずれも好意的で、青春の記録として、大変に読後感のよい内容となっている。2015/11/08