出版社内容情報
中世に花開いた詩劇，能．韻律の美しさに刻まれて浮かびあがる，風雅，修羅，愛執…．謡本は江戸時代の人々の知識の源泉として活用され，読み物としても愛好された．寛永7年刊行の観世黒雪正本全百番を一挙に収録．
感想・レビュー
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藤月はな（灯れ松明の火）
96
最近、三島由紀夫氏による『近代能楽集』などに触れて謡曲の事が知りたくて借りてきました。高校生以来の岩波書店の古典文学体系だけど、やっぱり、親切だし、読みやすいわ〜。専門用語や制作背景などの注釈だけで無く、舞台、役毎に違ってくる衣装や能面の種類分けの付録も豊富なのが有難い。鮮やかに映える色を表す言葉も素敵。流された鵺にあわれを感じる「鵺」、恋の妄執による救われなさが跡を引く「定家」、源氏物語の要素にワクワクしながらも物語ることも罪となる当時の信仰にゾッとする「源氏供養」が印象的。「阿漕」も納得いかないかな。2017/11/27
