内容説明
大どろぼうの話、いもがゆの話、大きな鼻の和尚さんの話、命知らずの武士の話、きつねや化け物との知恵くらべ…。「今は昔」と語りつがれ、平安時代の人びとの生活と心をいきいきと伝える『今昔物語集』から、ふしぎで面白い39話。中学以上。
著者等紹介
杉浦明平[スギウラミンペイ]
1913‐2001。作家、文芸評論家。東京大学国文科卒業。郷里愛知県で農業を続けながら、執筆に励んだ
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感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
たつや
54
平安時代の今昔物語の児童版ですが、とても読みやすく面白かった。約40篇もあり、本も分厚いのですが、各話は短く簡略化してあるので、楽しく読めます。人間の醜さやおろかさが惜しげもなく表現されていて驚きました。最後の「干し魚を売る女」はうえっとなりましたが、現代の食品偽装の原点と言えるでしょう。2017/01/22
takaC
35
受験生用に彼の母親が図書館から借りてきたらしいが当の本人は見向きもしなかったので棚ぼたでベッドサイド本として読んだ。確かに高校受験向けには何かしら役立ちそうだな。結局彼が読む前に返却・・・2013/01/13
ヒラP@ehon.gohon
25
今昔物語はあまりに多くのお話があるので、どの本を読んでも新鮮味を感じたり、既読感を感じたりします。 それほど豊富なお話在庫の中で、ピックアップのし方によって、異質な色合いを出してくれるので、面白さたっぷりのさくひんしゅうです。 この「今昔ものがたり」は、読者対象を少年層として、堅い内容にまとめられているように思います。2022/09/12
りらこ
13
今は昔、ほんとに昔。人々の心の物差しも、悪に対しての感覚も違うパラレルワールドのような時代だけど、生きていく活気と物言う人たちと、それらを書いて残したい平安ブロガー達の意気込みの結集だなと思う。この本のあとがきにあるように、ここに選ばれている39のお話は一部でしかない。古文を勉強していた頃に読んだのみで知らない話もまだまだある。また他の古典に挑戦しよう。2018/08/19
ヘビメタおやじ
10
以前読んだ「今昔物語」は、ほとんど仏教説話だったのでそのイメージが強かったのですが、ずいぶん違って面白かったです。登場人物が実在で実名で出てくるのも、驚きでした。それぞれのエピソードは、描き方が野次馬根性丸出しで、皮肉・猥雑さがエネルギッシュです。現代語訳も読みやすく、武士が台頭してきた時代のざわめきも伺えます。2022/03/22