出版社内容情報
大学構内の沼のほとりでお昼を食べようとしたとき,ぽっぺん先生の腕時計が突然止まった.その瞬間から,先生はウスバカゲロウ,鼻長魚,カワセミと変身しつづけ,奇妙な冒険がはじまった.
内容説明
大学構内の沼のほとりでお昼を食べていたぽっぺん先生の腕時計が、とつぜんカチリと止まった。その瞬間から、先生はウスバカゲロウ、鼻長魚、カワセミと変身しつづけ…帰らずの沼をめぐる、奇妙で命がけの冒険がはじまった。小学4・5年以上。
著者等紹介
舟崎克彦[フナザキヨシヒコ]
東京生まれ。学習院大学卒業。ジャンルを問わない幅広い創作活動をつづける。「ぼっぺん先生物語」シリーズで路傍の石文学賞、『ぼっぺん先生と帰らずの沼』で赤い鳥文学賞を、また『雨の動物園』で国際アンデルセン賞優良作品賞など受賞した。「黒猫ジルバ」「ポッケはべんりやくん」「なぞのマメずきん」「ピカソ君の探偵ノート」などの人気シリーズほか作品多数
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
はる
56
面白かった。子供の頃大好きだったぽっぺん先生シリーズ。なかでも「この帰らずの沼」は一番印象に残っている。次々と動物の姿に変わっていくぽっぺん先生。果たして人間の姿に戻ることが出来るのか、ハラハラドキドキ。さり気なく描かれる食物連鎖、生き物たちの生態が学べるのもいい。2020/05/03
たつや
55
「雨の動物園」が良かったので、その流れで読みました。大学の先生、ぽっぺん先生がある日、大学の敷地内の生き物の生存競争について原稿を書けと依頼され、引き受けてしまう。その後、突然、時計が止まると珍種のカゲロウが現れて、異世界に入っていく。異世界とは食物連鎖を体験する世界だ。挿し絵が上手いときと下手なときがあり、味があると思う。読みやすい面白い作品でした。2017/02/06
へくとぱすかる
31
『日曜日』もよかったが、『帰らずの沼』は、それにも増して深みを感じる物語だった。食物連鎖という、自然界では当たり前のしくみが、こんなにおもしろい物語に転化するとは想像もしなかった。イタチの段階で、誰にも食べられなかった場合どうなるのか、ひどく気になったが、そうきたか。物語として正面から展開されると、生物学的には当たり前のことだが、感心してしまった。ラストが近づき、果たして人間のぽっぺん先生に戻れるのか、と思ったが、強引に解決。しかし気になるのは、やはりカワセミのお嬢さんのその後。幸せというのは難しい。2015/01/31
hinako
12
小さいころに大好きで何回も何回も読んだ本。ブックオフで見つけたときは、懐かしさに泣いてしまった。今読み返してもよくできているなあとしみじみ。食物連鎖についても、それぞれの生物の生態についても感心した後考えさせられる。挿絵もかわいらしいし、ぽっぺん先生の性格もいい。ところどころくすっと笑わせながら、最後まで楽しく読める。今の子供にもこういう良作を読んでほしい。文庫を出す際に付け加えたと思われる、舟崎さんのあとがきもよかったです。大好きです。読めてよかった。2018/03/25
Ribes triste
10
小学生の時に初めて読んでから今まで、気づくと繰り返し読んでます。いわばオジサン版不思議の国のアリス食物連鎖編。昆虫や鳥など生き物の目からみた、悲しくも面白い不思議な世界。この本に出合って、今の私の人生がある気がします。2016/07/08