出版社内容情報
吉野作造の政治思想は,複数政党制の確立と脱植民地化,国内民主主義と国際民主主義とを不可分とした点で他に類を見ず,今日の課題につながる先見性を示している.初めて公開される幻の吉野日記を加えて,その全体像に迫る.
内容説明
戦後50年、政治的・思想的混迷の中で、今立ち帰るべきリベラル・デモクラシーの原点。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
てれまこし
2
大正デモクラシー期のキーワードの一つで、今は失われてしまったものに「人格」がある。吉野にとって、政治の究極の目的は個々人の人格の発展。その結果が文化の成長である。そのために民主政治が必要とされるが、それは人格者が民衆から監督を受けつつ民衆を指導する政治だ。人格の優れた指導者と民衆が疎遠にならずにに互いに影響を及ぼしあうことにより、一国の文化は向上する。この人格の陶冶には宗教が大きな役割を果たす。吉野の語った民主論は今ではあまりに常識的すぎて面白くもないが、この人格だけは今日の民主論にはすっぽり抜けている。2018/06/05