出版社内容情報
近代日本人の精神的支柱でありつづけた漱石の文業は,今も強く私たちにはたらきかけてくる力を持っています.先の見えない閉塞感にとらわれがちな今,漱石から学ぶべきものは決して少なくありません.1993年に刊行を開始した新しい『漱石全集』をより充実させ,ここに再刊します.
目次
蔵書に書き込まれた短評・雑感
印譜
単行本書誌(清水康次)
年譜
漱石山房蔵書目録
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風に吹かれて
14
『年譜』は、かなり興味深い内容だった。明治41年9月14日 『吾輩は猫である』のモデルになった猫が死に、その死亡通知を門下生たちに出した(p650)。という事件や、日記等からの漱石を理解するうえで重要な文章の抜粋など、それぞれの作品を書いていたころの漱石の様子が伝わってくる。癇癪持ちで胃潰瘍のみならず痔にも悩まされていた漱石。大正3年3月29日津田青楓宛書簡に「世の中にすきな人は段々なくなります。さうして天と地と草と木が美しく見えてきます」「私は夫をたよりに生きてゐます」(p684)と ➡ 2019/02/17
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