出版社内容情報
近代日本人の精神的支柱でありつづけた漱石の文業は,今も強く私たちにはたらきかけてくる力を持っています.先の見えない閉塞感にとらわれがちな今,漱石から学ぶべきものは決して少なくありません.1993年に刊行を開始した新しい『漱石全集』をより充実させ,ここに再刊します.
目次
倫敦消息(『ホトトギス』所収)
倫敦消息(『色鳥』所収)
自転車日記
京に着ける夕
文鳥
夢十夜
永日小品
長谷川君と余
満韓ところどころ
元日〔ほか〕
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
風に吹かれて
14
大吐血前後の『思い出す事など』、『硝子戸の中』の居室で会った人々のことや考えたこと、などなど、どれも興味深い。相談事を携え来訪する女性、色紙を書かないからとクレームを書きつけてくる人など、『硝子戸の中』では現代でも起こっている「片付かない」ことが溢れていたようだ。 『夢十夜』には読むたびに瞠目させられる。一字一句読むにつれ意識は作品が描く世界に没入し、息をしながら読んでいる自分自身がいる地盤さえ『夢十夜』の世界のうちに感じられてくる。この一作だけでも漱石はすごい。⇒2021/05/25
悠々人
2
「文鳥」では、漱石が文鳥の世話をして いる姿を思い浮かべ、ほのぼのとした 気持ちにさせられます。 「思い出すことなど」では、修善寺から 病院へ行かざるを得なかった漱石の 辛い気持が伝わって来てしんみり させられます。 そして、「硝子戸の中」では漱石が狭い 書斎にこもって自分の人生と世の中を 眺めており、じっくりと味わいのある内容 となっています。 これ以外に「倫敦消息」「京に着ける 夕」「永日小品」、、、が収められて います。 それぞれ、漱石の人となりが出ており 興味深い作品です。 漱石が大好きです。 2019/01/15
こい
0
夏目漱石没後100年ということで漱石読み始め。夢十夜を読んでみたかったので、実家にある漱石全集12巻から。あと永日小品も読んだ。第一夜からやられた!漱石天才すぎる。夢の話だが、幻想的な情景がありありと浮かんでくるし、最後の「百年はもう来ていたんだな」の一言で、おぉ~と声をあげてしまった。新年早々に素晴らしい作品を読めたことに感謝。2016/01/01
-
- 和書
- 絵画と社会 美術名著選書