内容説明
1991年に元慰安婦について書いた1本の記事が、23年後に不当なバッシングを受け、元記者の人生を狂わせた。活字メディア・電話・ネットなどでの抗議・いやがらせ・脅迫は、家族・職場の大学にまで及び、元記者は闘うことを決意した。尊厳と真実を賭けて一新聞記者が起こした、たった1人の闘いは、大きな支援の輪に支えられ、いまや司法、活字メディアへと広がっている。自身の名誉回復だけでなく、日本の民主主義の再生を求めて。卑劣な攻撃に屈せず抗う元記者の闘いの手記。
目次
第1章 閉ざされた転職の道
第2章 「捏造」と呼ばれた記事
第3章 韓国・朝鮮との出会い
第4章 反転攻勢、闘いの始まり―不当なバッシングには屈しない
第5章 「捏造」というレッテルが「捏造」
第6章 新たな闘いへ向かって
著者等紹介
植村隆[ウエムラタカシ]
1958年、高知県生まれ。早稲田大学政経学部政治学科卒。1982年朝日新聞入社。仙台、千葉支局、大阪社会部などを経て、テヘラン支局長、ソウル支局、北海道支社報道部次長、東京本社外報部次長、中国総局(北京)を経て、2009年4月から北海道支社報道センター記者、2013年4月から函館支局長、2014年3月早期退職、2010年4月早稲田大学大学院アジア太平洋研究科(博士後期課程)入学。2012年4月より16年3月末まで北星学園大学非常勤講師(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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姉勤
21
疑わしきは罰せず。己にはそれを過剰に求め、先人と子孫には一切を許さなかった。捏造ではないかもしれないが、「願望」記者ではある。本書に溢れる、自分はそうは書いていないが、誤解されることは不本意ではない、と。事実は二の次だと。弱者を仕立て寄り添う虚栄心かマスターベーションは、目的のためのミスリードを善しとしたことにより、自らの人生もミスリードした様だ。WGIP(War Gilt Information Program)に感化されざればインテリにあらずな時代に生きてきてしまえば、目が覚めない方が彼は幸せだろう。2017/02/17
カープ坊や
12
一方的に捏造記者とレッテルをはり ネトウヨ達を煽り 植村氏の娘さんまでが脅迫される事態を招いた 櫻井よしこらの保守論壇。 植村さんに反論されるとぐうの音もでず主張が破たんしてしまう読売、産経新聞。 かつて朝日も産経も読売も従軍慰安婦の強制連行と報じていたなか 朝日だけがバッシングされ 植村氏がスケープゴートにされたのはアベ首相の朝日憎しが根底にあるのかも? 植村氏が櫻井氏たちを訴えた裁判も始まったことですし司法の良識と植村さんの名誉回復。 そしてネトウヨに殺害予告まで受けた高校生の娘さんの安全を願いたい!2016/05/05
ナリボー
3
6/10 作中に引用されていたように著者は朝日バッシングのスケープゴートにされた、との印象を受けた。 記者個々人というよりも、吉田調書問題、サンゴ記事問題のように、自分の都合のいいように、客観的事実でないことを報じ続けた朝日新聞自体に否があるのではと感じた。2023/02/10
Akio Kudo
2
★★★★★ 感情と偏見が先立つネットの恐ろしさを痛感する。捏造と言っても、読んでみたら捏造でもなんでもなく、他の媒体も同じことを報じているのにも唖然とする。マスコミ関係者のモラルがわかる本2021/04/19
ネコ
2
著者を批判する人たち、特に脅迫状やネットで関係ない家族にまで危害が及ぶようなことをする人たちには、人権の意識がないのか。戦前の日本に対する批判に異常なまでに反論し正当化しようとすることは、日本が世界から敵国と位置づけられた状態からいつまで経っても抜け出せず、敗戦国のままでいることになります。著者にインタビューを申し込んでおきながら、ねつ造に対する著者からの反論にぐうの音も出ないと、そのことについて記事では触れなかった読売新聞と産経新聞。著者の訴訟の弁護団の一人である小林節氏が、適切な表現で批判しています。2016/05/03