境界と暴力の政治学―安全保障国家の論理を超えて

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  • サイズ B6判/ページ数 274,/高さ 19cm
  • 商品コード 9784000610902
  • NDC分類 319.8
  • Cコード C0031

内容説明

グローバル内戦のもと過剰な安全保障国家化が進むなか、主権や領土の境界をめぐって暴力が再生産され、歴史修正主義を含む粗野な「現実主義」が横行している。私たちは暴力を受け入れ、この「現実」に従うしかないのだろうか。―この構造に抗うために、「現実主義」によって切り捨てられた“現実”と向き合い、そこから紡ぎ出された想像力の可能性を示す。

目次

動物化を昂進するグローバル内戦とそのメタ・ポリティクス
第1部 政治的暴力の現代的位相(ポスト世俗化時代における原理主義的アイデンティティ・ポリティクス;Gゼロ時代のユーラシアにおける文明的圏域の思想―動員されるジオボディ・ポリティクス;クロノトポスの政治的変容―四千年文明国家と百年国恥地図;方法としてのチベット;否認の政治と窪地からの声―マスキュリニティの危機との関連で;現実を切り捨てる「現実主義」―マスキュリニティの再編との連関)
第2部 「周辺化された現実」から「理想の力」へ(ジオボディ・ポリティクスの超克;「“非国‐民”の思想」の潜勢力―詩的想像力・再考;交差するラインを超えて―人権ギャップ縮小を志向する政治;「戦後かつ戦中」における脱セキュリタイゼーションの可能性―国連安保理決議一三二五をめぐる問題から考える;脆い生をケアする倫理―下からの平和な関係性の構築;方法としてのゾミア―リヴァイアサンを内破する野生のデモクラシー)

著者等紹介

土佐弘之[トサヒロユキ]
1959年、東京都生まれ。専門は国際関係論・政治社会学。東京大学大学院総合文化研究科修士課程修了。現在、神戸大学大学院国際協力研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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壱萬弐仟縁

50
ISに代表されるような過激なジハード主義的サラフィズムは、アメリカの仕掛けたイラク戦争等に代表されるような暴力的グローバリゼーションという過酷な状況が生み出した帰結(25頁)。ハイブリッド・レジームは、デモクラシーの装いを守る以上、露骨な政治的弾圧は避けるものの、その強い国家中心主義のために政治的・市民的自由が制限され、通常の選挙民主主義とは異なり自由な政治的空間が大きく限られている(50頁)。2016/08/23

Naoya Sugitani

2
批判的国際政治学を実践する著者による最新論考集。西洋思想から現代国際政治学の諸問題を幅広く抑えた内容になっている。昨今国際政治学者の援護射撃の元で安保法制や解釈改憲が進行しているが、この国際政治学の姿勢を「日本型現実主義」としてその問題点を容赦なく暴き、批判している。現実主義を気取る国際政治学によって、切り捨てられる現実があるという事実を、国際政治学者は重く受け止めるべきだろう。論点が多様すぎてやや散らかっている感があるが、その印象を押しのけるぐらいの力強い論考が並ぶ。個人的には文句なしの名著。2017/09/09

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