内容説明
無防備の弱い人間たちは、政治や経済の横暴を、どうすればよいか。本書は、『豆腐屋の四季』『ルイズ父に貰いし名は』『汝を子に迎えん』をはじめとする松下竜一のノンフィクション作品を、「やさしさ」をキーワードにして読み解き、そのためのヒントを探る。極貧の豆腐屋歌人から出発した作家・松下竜一が「いのち」を見つめ、「人間」を描き、「やさしさはそのまま強靱な抵抗力となりうるか」という問いに向きあいつづけた軌跡を鮮烈に描く。
目次
第1章 愛しい不安―豆腐屋歌人としての出発(ある意味での使徒;母の死 ほか)
第2章 暗闇の思想―環境権と暮らしへの視点(第三次騒動―「豆腐屋の四季」;転機―騒動のあと ほか)
第3章 やさしさが、そのやさしさのままに強靱な抵抗力となりうるか(一身のためにではなく;わが心にも勁き砦を ほか)
第4章 本好きにする本―松下児童文学の可能性(ビンボーくらべ;感動とは ほか)
著者等紹介
下嶋哲朗[シモジマテツロウ]
1941年長野県生まれ。ノンフィクション作家。著書に『アメリカ国家反逆罪』(講談社、講談社ノンフィクション賞)他(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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コギー
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思うところあって、図書館で借りて読む。2015年刊行。大分県は中津に生まれ、東大進学を目指すほど優秀な青年であったが、最愛の母の死によってその夢を断念し、父と共に生家の豆腐屋を営む。その慣れない豆腐屋時代に見よう見まねで「朝日歌壇」に応募した短歌が何度か入選し、ついにはその歌集が当時の人気俳優であった緒形拳主演でドラマ化までされるほどに。その後、松下は豆腐屋を廃業し、作家になるが、得意とした硬派のノンフィクション作品は売れず、自らの貧乏生活をユーモラスに書いたエッセイが人気となった。2020/09/16