出版社内容情報
海をも越えて被害が広がる口蹄疫。2010年宮崎県では家畜30万頭近くが殺処分となった。欧米に比べ日本の対策は科学的視点に欠けると批判も大きい。ウィルス学の出発点となった口蹄疫の歴史を振り返り、正確な知識を提供する。
内容説明
宮崎県で発生した口蹄疫はワクチン接種した家畜まですべて殺処分するという事態となり、大きな衝撃を与えた。行政のこの対応は科学的に見て正しかったのだろうか?世界的に進む「生かすためのワクチン」を中心に口蹄疫研究の進展を紹介し、科学の立場から検証する。口蹄疫という病気の実態、歴史、対策の変遷、今後の問題点をわかりやすく整理した。
目次
1 口蹄疫とは?―症状は軽いが急速に広まる伝染病(ウイルス学の出発点;口蹄疫は軽い病気;人の衣服や風に乗って海を越えて運ばれるウイルス;口蹄疫ウイルスとポリオウイルス)
2 口蹄疫と殺処分―長い対策の歴史(殺処分による対策のはじまり;ワクチンか?殺処分か?;ワクチンへの大きな転機;研究所から漏出した口蹄疫ウイルス;オランダでは緊急ワクチン接種;北米での口蹄疫―日本のウイルスが初期の発生源に;メキシコでの大発生と国境封鎖)
3 口蹄疫ワクチン―新しい展開(口蹄疫ワクチンの歴史;マーカーワクチン―殺すためのワクチンから生かすためのワクチンへ;組み換えDNA技術による新しいマーカーワクチンの開発研究)
4 口蹄疫と日本―二一世紀に初めて問題となる(明治時代における発生―重要視されなかった口蹄疫;台湾の養豚産業の壊滅;二〇〇〇年―宮崎―一〇〇年ぶりの発生;二〇一〇年―宮崎―欧米の教訓活かされず;日本の口蹄疫対策に見られる非科学性)
5 口蹄疫とどう付き合うか?(口蹄疫バイオテロ;動物福祉と口蹄疫対策;口蹄疫は人間が作り出した疫病)
著者等紹介
山内一也[ヤマノウチカズヤ]
1931年生まれ。北里研究所、国立予防衛生研究所、東京大学医科学研究所教授、日本生物科学研究所主任研究員などを経て、東京大学名誉教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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