戦争の経験を問う
総力戦体制と「福祉国家」―戦時期日本の「社会改革」構想

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  • サイズ B6判/ページ数 306,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000283786
  • NDC分類 364
  • Cコード C0321

出版社内容情報

「福祉国家」日本のルーツは本当に戦時期にあるのだろうか―。厚生省設立などの「戦時社会政策」をめぐる軍部と内務省・近衛内閣等のせめぎ合いに着目し、戦後のあり方とは異なる、総力戦体制=「福祉国家」の姿を描く。

内容説明

「福祉国家」日本のルーツは本当に戦時期にあるのだろうか―従来、軍もしくは戦争の要請に基づくものとされてきた厚生省設立や国民健康保険・厚生年金保険制度創設などの「戦時社会政策」。本書は、その形成過程における政府や地方、軍部などのせめぎあいに着目し、戦後日本の福祉国家とは全く異なる「骨格」を持つ、戦時期の総力戦体制=「福祉国家」の姿を浮かび上がらせる。

目次

序章 戦時期日本の「社会国家」構想
第1章 厚生省の設立と陸軍の「社会国家」構想
第2章 広田‐第一次近衛内閣期の「社会政策」と「社会国家」
第3章 戦時労働政策と「社会国家」
第4章 戦時人口政策と「社会国家」
第5章 「健兵健民」政策と戦時「社会国家」
終章 戦時「社会国家」の歴史的位置

著者等紹介

高岡裕之[タカオカヒロユキ]
1962年奈良県生まれ。大阪市立大学卒業、同大学院文学研究科後期博士課程単位取得退学。関西学院大学文学部教授。日本近現代史(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆう。

19
再読。戦中期の総力戦体制を「社会国家」と位置づけ、政策体系や政策構想を分析し、戦後への断絶性と継続性を考察した内容です。著者は福祉国家=総力戦体制源流論に対して系譜を問題としたものであると批判的に考察し、戦前・戦中期の日本人のイメージは「社会国家」であり、また戦時期前後の「福祉国家」と現代「福祉国家」は段階的に把握する必要があると述べています。こうした捉え方は、戦前から戦後にかけていわば上からの枠組みの連続性を見ることができます。しかし、下々の国民生活からの連続性は見ることは難しいように思いました。2017/07/28

Ra

2
復刊した名著。総力戦体制の下で進行したとされる「福祉国家」化を、戦時下における社会改革の政策体系・政策構想に即して検証。複数の構想(衛生主義的「社会国家」、生産力主義的「社会国家」、民族ー人口主義的「社会国家」)が相互に矛盾・対立・競合する面がある一方で、合従連衡や包摂の関係が成立する面も存在。「過剰人口」問題というkey issueが戦前から戦後にかけて相貌を変えながらも時々の社会改革の起動力になっていたことがわかる。フーコーの「生政治」を参照しながら読むとまた新たな発見があるような気がする。2022/05/08

Masatoshi Oyu

2
日本の福祉はどうして不足しているのか。「福祉」が人権保障のためではなく総力戦体制の一環として整備された、そのままを引きずっているから。2016/08/15

めじぇど

1
戦時中に社会国家になっていくの皮肉だなあ2022/11/27

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