内容説明
ケアワーカーの労働や待遇の実態、仕事のやりがい、ケア現場のジェンダー規範、虐待や身体拘束、感情労働やストレスの問題。認知症ケアの難しさ、コミュニティ・ケアの理想と現実―ケアワークがはらむ様々な問題を浮き彫りにし、ケアワークの専門性とは何かを改めて問い直す。
目次
ケアすることとは―介護労働論の基本的枠組
介護の専門性
「よいケア」とは何か―来るべき「ふつうのケア」の実現のために
介護労働市場と介護保険事業に従事する介護職の実態
感情労働としてのケアワーク
ケアする性―ケア労働をめぐるジェンダー規範
ケアワークにおけるストレス
縛り放題!閉じ込め放題!あぁ懲りない国ニッポン
老い衰えゆくことをめぐる人びとの実践とその歴史―私たちが自らを守らんがために現れてしまう皮肉かつ危うい事態について
ウソつきは認知症ケアのはじまり、なのか?
認知症を生きる人たち
コミュニティ・ケア―幻想と現実
著者等紹介
副田義也[ソエダヨシヤ]
1934年生まれ。社会学者。金城学院大学教授、筑波大学名誉教授。専門=福祉社会学、歴史社会学。福祉はもとより、家族論、老年論、子供論、文化論に至るまで幅広い分野をカバーし、実証に基づくオリジナルな社会学研究を展開(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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amanon
3
専門性の高い仕事であるのにも関わらず、その専門性が今一つ確立されていない介護職という仕事。その厄介さに期せずして向き合うことに。本書で言われているような介護職に対する偏見に晒されることは幸いにしてこれまでなかったが、ただ多くの介護職者が向き合っている過酷な現実には暗澹たる思いがする。そして、行政が行う高齢者対策の杜撰さには目を覆わずにはいられない。これが現実か…と。とりわけ、あたかもこれからの時代を担う画期的なものと一部で謳われている介護保険への多くの批判的な意見には、目から鱗が落ちる思いがした。2016/06/06
teltelmomiji
0
介護労働の感情労働としての側面に焦点を当て、感情労働が客観的には測れず、目にも見えないこと、また伝達可能な形式知ではなく言葉にすることが難しい暗黙知に依拠するために不当に低く評価されているとの分析が面白かった。感情労働が評価されないことが、介護だけでなく女性の多い職種の労働単価が低い要因にもなっているとのこと。2018/12/17