内容説明
佐渡金山と戊辰戦争を舞台に、非情な運命に対峙した人々への鎮魂の祈りを篭めて書かれた歴史小説二編。
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Sakie
1
否応なく流されていく宿命の市井の人々を描いた、剛の小説。流星雨は戊辰戦争において会津藩が逆賊として新政府軍から攻められ陥落するところから始まり、会津の士族の娘の流れゆく様を描く。視点がダブルスタンダードである。時勢を俯瞰する目と、名もない一人の女の狭い目、これは一致し得ないもの。双方同質に書かれることに違和感を覚えるが、読み終えてみれば圧倒的な流星雨だった。このタイトルの重みは読み終えてみればわかる。自由な世になったといっても、彼女を縛る運命の歯車はやはりそこに見える。女流文学賞受賞作。2012/05/03