ポストモダン・ブックス
ポストモダニズムとホロコーストの否定

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  • サイズ B6判/ページ数 106p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000270779
  • NDC分類 316.88
  • Cコード C0310

内容説明

果てしない相対主義を歴史にもちこんでユダヤ人大量虐殺の事実を否定する言説を助長したのはポストモダン思想なのか?歴史家をよそおい、執拗に世間の耳目を引こうとする否定論者の策略を暴きながら、ポストモダン思想が歴史について投げかける問いかけこそが、ホロコースト否定論と戦ううえで強力な武器になることを力強く説く。

著者等紹介

イーグルストン,ロバート[イーグルストン,ロバート][Eaglestone,Robert]
ロンドン大学ロイヤル・ホロウェイ・コレッジ講師。現代文学・文学理論、ヨーロッパ哲学

増田珠子[マスダタマコ]
1969年生まれ。津田塾大学大学院後期博士課程単位取得満期退学。駿河台大学専任講師。イギリス文学
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

kasim

30
厄介で重要な問題だ。硬直した権威に疑問を投げかけ、すべてを相対化したポストモダニズムの意義は大きい。一方でそれは混沌への扉も開いてしまった、ようにも思える。ポストモダニズムは歴史修正主義を許容しないと著者は頼もしく主張する。修正主義者の根本にあるもの、つまりただのユダヤ人憎悪を読み取れ、というのは分かる。でも彼らを差別主義者と断じても、彼らが同様にこちらの根本がユダヤかぶれなのだ、と嘯けば論理上は議論は五分に戻ってしまうようにも思える。2021/04/26

白義

5
ポストモダニズムの歴史論は歴史の相対化を促し、それが結果としてホロコースト否定論に与することになる、とは日本でも南京事件論争などでよく言われてきたことだ。著者はそれに否を唱え、ポストモダニズムの立場からホロコースト論争を分析、ホロコースト否定論の批判にこそポストモダニズム的な歴史、文学論は必要なのだ、と主張している。歴史認識論争全般の手際のいい理論的入門書に使える。結論として、そもそもホロコーストや戦争犯罪の否定論は、歴史というジャンルのディスクールにすら属さない、暴力行為に過ぎないのだとか2012/08/02

ねぎとろ

3
解説で明快に論じられているように、ポストモダンの立場から修正主義が批判されている。その方法は逐一論点を扱うものではないが、それは「道理をわきまえた歴史家」の本を見ればよいことだ。肝心な所は、そうした論点を修正主義と争う事自体が彼らを利するという点にある。この辺りは進化論とID論の「論戦」と似ている。2011/01/16

Abdiel

2
ポストモダニズムの手法でホロコースト否定論を論破することを目的とした本。だが、否定論者の意見(犠牲者の数が疑わしい、等)に対し、「こういう証拠、証言があるのでその説は成り立たない」と、逐一否定論を切り伏せていく方がよほど分かりやすく論破できるはずなのだが。こんな薄っぺらい本で、本当に完全に論破できたと思っているのだろうか。否定論者なんか本気で相手にするのは馬鹿らしい、という思いは分からないでもないが、ならば、なぜこんな中途半端な本を書いたのか。2008/06/23

Masato Kurosawa

1
ホロコースト否定論と歴史学の差異を、具体的な歴史論争を挙げて説明する。歴史認識の不可能性や、歴史家の立場性、あるいは言語そのものに含まれる代理表象性を踏まえて、ポストモダニズムにとっての歴史とは常に構築されるものである。そうした歴史相対主義的な歴史観はホロコースト否定論と一見して結託しかねないように見えるが「道理をわきまえた歴史家」という概念によって著者が説明するように、ホロコースト否定論と歴史学はその言説ジャンルがまったく異なり、その意味で両者は討論可能な関係にはない。否定論は反ユダヤ主義の一形態である2015/11/18

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