内容説明
現代における人種差別主義とは、何によって定義され、作りあげられているのか。A.メンミ、サイードなどの定義を辿りながら、自他の「差異」「優劣」を捏造するメカニズムを解き明かす。さらに差別意識の発生に「言語システム」が果たす役割を指摘、永井荷風のテクスト分析により実証する。現在の差別と対峙する思考の創出。
目次
1 「人種差別主義」とはなにか(「差異」が「差別」に転換するシステム;「異質性嫌悪」発生の回路;言語が形づくる「アイデンティティー」)
2 言語と差別(子どもの言語習得過程と差別;言語システムと差別のメカニズム;『オリエンタリズム』にみる主体と客体の「非対称性」)
3 人種差別主義の言説(「大日本帝国」への自己オリエンタリズム;“われわれ”=“かれら”という転倒;「ミュッセの詩集」が象徴するアイロニー)
4 基本文献案内
著者等紹介
小森陽一[コモリヨウイチ]
1953年生まれ。北海道大学大学院文学研究科博士課程修了。専攻は日本近代文学。東京大学大学院総合文化研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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