思考のフロンティア<br> 社会

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思考のフロンティア
社会

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  • サイズ B6判/ページ数 252p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000270069
  • NDC分類 304
  • Cコード C0331

内容説明

今日の社会科学にとって重要な問いは、「社会とは何か」「それはいかにして可能か」という抽象的な問いではない。ある歴史性をもって誕生し、この問い自身が不可視にしてしまう「社会的」という概念を問題化することである。本書では、この概念の形成過程を辿り直し、福祉国家の現在を照射することから、「社会的なもの」の再編を試みる。

目次

1 社会的なものの現在(日本の戦後政治と社会的なもの;冷戦以後と社会的なもの;社会学と社会的なもの;社会民主主義)
2 社会的なものの系譜とその批判(ルソー;社会科学の誕生;批判と展望)
3 基本文献案内

著者等紹介

市野川容孝[イチノカワヤスタカ]
1964年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程単位取得退学。専攻は社会学。明治学院大学社会学部専任講師を経て、東京大学大学院総合文化研究科助教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

ゆう。

21
私たちにとって社会、または社会的なるものとはいったいどういう意味を持つのだろうか。新自由主義的で利己主義的社会が広がるなかで、社会を考えることは大切なことだと思う。個人と国家の関係なども考えることができた。2020/02/17

ヒナコ

9
「社会的なもの」に関するかなり重厚な考察。第一部と第二部に別れており、第一部は日本で社民主義が没落し、新自由主義的な個人主義が隆盛を極めていった思想史および政治史が解説されている。 特に印象に残ったのは第二部の、「社会的なもの」を対象にした学問である「社会科学」に関してと、その源流となったルソーの『人間不平等起源論』と『社会契約論』に関しての著者の論述だった。→2022/07/16

Nさん

3
2006年刊行。「社会的なるもの」について、著者の博覧強記っぷりに圧倒される。豊富なトピックが提供される。ヨーロッパと日本では「社会」の解釈が異なる。前者における社会は福祉国家(社会民主主義)だが、後者ではマルクス主義としてしか受容されなかった。そこに日本の、特に政治における「社会」の衰退の原因がある。著者はいう、それらは「最新型だと思って買った製品(マルクス主義)がぶっ壊れたので、幻滅と憤怒に駆られつつ、それとは全く別の規格品(リベラリズム)に一気に乗り換える、思慮の浅い消費者」のようだと。(→続く)2021/10/18

Mealla0v0

3
平等や連帯という価値を志向する規範概念である〈社会的なもの〉。しかし、社会学は「価値自由」を打ち出すことでこの規範概念を抽象化し、社会を相互行為の総体と見做すようになり、〈社会的なもの〉を忘却していった。忘却を蒙ろうと、ドイツやフランスは自らを「社会的な共和国」と規定しており、その点、日本とは大きくことなるだろう。市野川は英語・独語・仏語に加え日本語における〈社会的なもの〉の系譜を辿るが、この試み自体が規範概念の実現を目指す実践としての〈社会学〉だと評せよう。ルクセンブルクへの高い評価はその現れだろう。2021/02/18

kosukenouchi

3
「社会的(なもの)」の概念を系譜学的に明らかにすることで、社会科学を縛り付けてきたウェーバーの価値自由を相対化し、特に日本の社会(科)学者に忘却された社会科学の価値志向性を説いていく。医療や生命をフィールドとしてきた著者らしい、平等の重視という価値観が基調となっている。批判として想定可能なのは、「なぜ社会的なものが必要なのか」だろう。これについては、本書で言及されなかった「平等とはどういうものか」を検討することが1つの解決策であるはずだが、いずれにしてもこの問いを無視することはできないのではないか。2015/06/17

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