出版社内容情報
貨幣の歴史は謎にみちている.その複雑で多層的な世界を〈非対称性〉という概念を手がかりによみとき,世界史のなかの貨幣と市場を根本的にとらえなおす.古代から現代まで,グローバルな視野のもとに提示される,新しい「貨幣論」.
内容説明
本国をはるか離れた中東地域で、二〇世紀初頭まで流通したオーストリアのマリア・テレジア銀貨。製造コストが額面よりも高い銅銭を発行し、しばしば「良貨が悪貨を駆逐する」事態をつくりあげた中華帝国。インドで流通した桁はずれの零細通貨、モルディヴ産貝貨…。日々の営みに欠かすことのできない貨幣。しかし、その歴史はいまだ謎に満ちており、「貨幣とは何か」という問いは、わたしたちを惹きつけてやまない。貨幣と市場の複雑で多層的な世界を「非対称性」という概念を手がかりによみとき、世界史のなかの貨幣現象を根本的にとらえなおす。古代から現代まで、グローバルな視野のもとに提示される、新しい歴史=貨幣論。
目次
序章 貨幣の非対称性
第1章 越境する回路―紅海のマリア・テレジア銀貨
第2章 貨幣システムの世界史
第3章 競存する貨幣たち―一八世紀末ベンガル、そして中国
第4章 中国貨幣の世界―画一性と多様性の均衡構造
第5章 海を越えた銅銭―環シナ海銭貨共同体とその解体
第6章 社会制度、市場、そして貨幣―地域流動性の比較史
第7章 本位制の勝利―埋没する地域流動性
終章 市場の非対称性
著者等紹介
黒田明伸[クロダアキノブ]
1958年生。アジア経済史。現在、東京大学東洋文化研究所教授
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