出版社内容情報
水俣病の捉え直しから日本の環境倫理学を再起動する.運動家,科学者,哲学者が問う,環境正義とは,保護すべき自然とは.豊島事件,ダイオキシン問題―アクチュアリティと歴史を踏まえ,環境への原理的な視点を探る.
内容説明
水俣病から日本の環境倫理学を再起動する。問いとヒント―のっぴきならない問題を考える。
目次
1 講義の七日間―水俣病の哲学に向けて(倫理学と環境問題との出会い―人間中心主義の克服?;「土地倫理」再考―人間‐技術‐自然;「人間中心主義」の再考と道徳多元論 ほか)
2 セミナー(水俣病と世界の水銀汚染;水俣の再生と市民運動;リスクの科学と環境倫理 ほか)
3 基本問題集(「地球温暖化」は何が問題か;動物に権利はあるか;自然保護―わたしたちはいったい何を守ろうとしているのか)
4 シンポジウム―環境問題をどこから考えるか
5 環境倫理年表
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
マウンテンゴリラ
1
環境問題が現実世界に災いをもたらしつつあることは、もはや周知の事実といってもよいだろう。しかし、我々の多くはそれを、迫り来る危機とまでは実感できていない、というのが実態ではないだろうか。個人的にその理由のひとつとして、社会全般において、環境問題が未来の問題であるという認識が大勢を占めていることにあるのでは無いかと感じている。人間はあらゆる生き物の中で唯一、未来を見据えて生きることが出来る存在ではあるかもしれないが、未来を完全にコントロール出来るほどの能力を持ち合わせているわけでもない。→(2)2020/06/30