現代社会学選書
拒食と過食の社会学―交差する現代社会の規範

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  • サイズ B6判/ページ数 211p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000265164
  • NDC分類 493.74
  • Cコード C0336

出版社内容情報

摂食障害に苦しむ当事者の経験を通して,それが現代社会の,主体性,性,身体性をめぐる矛盾した規範の構造と深く関係していることを明らかに.女性達の生き辛さや苦しさ,居心地の悪さを共感的に受け止め本質を究明.

内容説明

現代社会の若い女性たちに多くみられる拒食症や過食症。経験者の言葉を読みといていくと、女性たちが主体性・女性性・身体性について矛盾する規範が同時に作用する場のなかで、どちらの規範にしたがっても他方からは非難されるという引き裂かれた状態のなかにとらえられていることが浮かび上がってくる。これは今日の社会を生きる女性たちが共通に直面している状況でもある。これらの矛盾する規範の作用が、近代・現代社会の平面を成立させている根底的な社会構造とそのダイナミズムから導かれていることを考察する。

目次

第1章 摂食障害の位置づけ(摂食障害の概念と現状;摂食障害の病因論;接触傷害を社会との関連においてとらえた先行研究)
第2章 摂食障害の経験(身体の変化への抵抗感と孤立;太ることへの恐怖と「女性であること」の受け入れ難さ;主体性・女性性・身体性にかかわる規範)
第3章 近代・現代社会と規範の矛盾(近代家族という制度;近代市民社会における「主体」;主体性・女性性・身体性にかかわる規範の矛盾;現代社会における規範の矛盾の顕在化)
第4章 現代日本社会における規範の矛盾(現代日本社会における主体性・女性性にかかわる規範;現代日本社会における身体性にかかわる規範)
第5章 摂食障害と規範の矛盾

著者等紹介

加藤まどか[カトウマドカ]
1965年生まれ。東京大学文学部社会学科卒業。同大学大学院人文社会系研究科博士課程単位取得退学。現在、福井県立大学学術教養センター講師。社会学専攻
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

りぃ

5
斜め読み。個人や家族ではなく、それらを取り巻く社会から摂食障害を捉えているのが新鮮だった。女性に対する、「主体的であれ」「主体的であってはならない」という矛盾、「人間にとって大切なのは精神」「(とくに女性は)身体の外見の美しさによって評価される」という矛盾、これらの矛盾する規範がストレスを生む、という主張はなるほどと思った。2023/09/04

keepfine

1
女性性、主体性、身体性における矛盾した規範(平等の建前と実際の差別、主体性の要求と否定、外見より中身という欺瞞)が、拒食症と過食症の構造的規定要因である。思春期の女性にとっては女性性の要求が脅迫的にうつり、大人になることへの拒否反応として拒食に至るという事例があった。これは性的マイノリティの困難とも同根。近代社会における市民とは大企業男性正社員が想定されており、それ以外は排除される。こ男性ですら失業者やワーキングプアは市民として認めないという問題が示される。拒食症における男性の事歴も挙げられていた。2020/10/22

あさみや

1
摂食障害を社会学的に読み解くことで、個人の問題、家族の問題から解放してる、そうだよね、その子が悪い子で弱い子だから摂食になったわけじゃないんだよ。社会の本音と建前が矛盾してて女子まじ生きづらいわぁって話。 書き方はすこぶる研究報告っぽくて論文ぽくて読むの大変だった。2014/05/26

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