出版社内容情報
この奇怪なる現象の本質とはなにか.近代日本におけるその観念の変遷を,「「国体」ナショナリズム」という視座から明らかにし,現在のグローバル化の地政学的な変容のただ中における,その不気味な実在感の意味を考える.
内容説明
ナショナリズム―この奇怪なる現象の本質とはなにか。われわれを魅惑するその不可思議な力は、どこに宿るのだろうか。近代日本における、この観念の思想史的な系譜と変遷を「国体」ナショナリズムという視座から明らかにし、現在のグローバル化がもたらす地政学的な変容のただ中において、新たなる秩序構想にむけたナショナリズムの脱構築がもたらす可能性について考える。
目次
1 ナショナリズムの近代
2 「国体」ナショナリズムの思想とその変容(基本的な視座;「国体」思想のアルケオロジー;「国体」の近代;「国体」の弁証法;戦後「国体」のパラドクス)
3 基本文献案内
著者等紹介
姜尚中[カンサンジュン]
1950年生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科博士課程修了。専攻は、政治学・政治思想史。現在、東京大学社会情報研究所教授
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感想・レビュー
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遠山太郎
3
1)p1ボブズボーム「1780年以後のネイションとナショナリズム、そのプログラム,神話,現実」p4 橋川文三 「ナショナリズムーその神話と論理」p28 リービ英雄「日本語を書く部屋」p32 網野善彦「「日本」とは何か」p63 西周「兵家徳行」山縣・西「軍人訓戒」ー『誠心』p70 丸山眞男「政事の構造」12巻p74 竹山昭子「戦時下のラジオ講演」『年報 近代日本研究』12 ー「天皇に関するキーシンボル」上位11種は「ほぼ国体語」p81 北一輝『国体論及び純正社会主義』262頁ー「穂積博士」「東洋の土人部族」2014/03/06
テッテレこだち
2
日本における国体とナショナリズムについて、江戸から明治維新、第二次大戦から戦後に至るまでを視野に、思想の演変を追ったもの。シリーズ的に多分入門書の類だが、己の浅学故にところどころ目慣れない言葉が出てきて、結構検索をかけた。後半にある戦後思想の個別の比較部分が興味深い。主題的にも紙幅的にも日本とアジアとの関係の部分に書き足らぬ思いがあったのではとも感じるが、そこを現在も形を変えて存続しようとするグローバリズムとしての「帝国主義」への批判で述べている気がする。結びの朝鮮半島についての記述、現状を思うと辛い。2024/04/15
あなた
2
要点はひとつ。ナショナリズムは、モジュールであるということ。ナショナリズムは可変性があり、伝染性もあり、かつそれでいながらも内実は空白であるということ。この内実がからっぽというのが非常に肝心。だからこそ、意味の充填=補填は永遠に続くのである。ナショナリズムに果てはない。てんぷらと皇居の中心はからっぽといったのはロラン・バルト。2009/07/04
りり課長
0
95P 短い本ではあるが大変硬質な批判的思考に感銘。 2001年発行でやや古くはあるが、現今の混迷に対し予言的でもある。 良書である。2013/02/01