出版社内容情報
近代化や個人主義がゆきづまるなかで,内面世界への関心が高まっているが,その行き先は不透明である.宗教と科学という世界観の対立を解くものは身体ではないか,という仮説に立ち,新しい人間観・世界観を見いだそうという意欲的な試み.
目次
第1章 死の深層心理(死の世界を「見た」少年;脳内現象か現実現象か;科学的思考と心 ほか)
第2章 修行体験の種々相(体外離脱体験と身体感覚;修行体験との関係;修行者の幻覚体験 ほか)
第3章 身体と人間性(身体についての三つの視点;哲学と心身相関の医学;心理的=主体的身体と生理的=客観的身体 ほか)
第4章 宗教性と科学(内的自我と外的自我の世界の統合;ニューサイエンス、超心理学、オカルティズム;共時性と集合的無意識 ほか)
感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
Koushi Kawasoe
0
自分の発想がいかに、デカルト以来の近代諸科学による合理主義に染まっていたかが、よくわかる。種々の宗教経験や超常現象などをおもにユングの立場を引きながら、著者の意見が展開。特に①生理的身体(物理学)と心理的身体(心理学)の接点が、「現在」という場において存在する、②三人称的身体(物理学)でもなく、一人称的身体(心理学)でもない、二人称的身体が現代科学のパラダイムシフトの可能性を示唆している、といった第3章以降の内容は面白い。ただ、正直なところ、宗教や倫理との関係性について、もう少し詳細な記述が欲しいところ。2019/02/17