戦後歴程―平和憲法を持つ国の経済人として

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  • サイズ B6判/ページ数 182p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000259156
  • NDC分類 289.1
  • Cコード C0095

内容説明

損保大手の経営者として、また、日本銀行総裁顧問として、さらに財界団体の専務理事として、知り得た日本資本主義の中枢の姿は、「人間の顔をした経済」という理想とは程遠い現実だった。復員船で出会った憲法9条を原点として、財界中枢で平和と民主主義の日本を求めつづけてきた、稀有な知性の自伝。

目次

激戦からの生還
経済人としての第一歩
関西労働学校
労働運動への傾注
経営の中枢へ
アメリカの真似はしない
沖縄の本土復帰にかかわって
妻・静の最期の日々
状況を創る―社長就任
印象深い人々
「昭和」の終焉

著者等紹介

品川正治[シナガワマサジ]
1924年、兵庫県神戸市生まれ。旧制第三高等学校(京都三高)在学中に志願して旧陸軍に入隊。復員後、東京大学法学部卒業。日本火災海上保険(現在の日本興亜損害保険)社長、会長を経て、現在、相談役。経済同友会専務理事を経て、現在、終身幹事。一般財団法人国際開発センター会長。「平和・民主・革新の日本をめざす全国の会」(全国革新懇)代表世話人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

trazom

88
保阪正康氏の「戦争の近現代史」に紹介された一冊。上海からの復員船の中で見た新憲法第九条の感動が著者の原点だと言う。日本火災海上の社長・会長を歴任するも、アメリカ型の金融資本主義、新自由主義を批判し、企業の社会的役割を重視する立派な信念を持つ経営者だと思う。ただ、余命を悟って書かれた本書は、記録を残す使命感とは言え、実在の人物への赤裸々な評価など、余りいい印象を覚えない。妻の死を前に「チャイコフスキー「悲愴」第3楽章の底知れぬ情感を知った」とあるが、あの楽章をそんな風に感じる人を、私は信用する気になれない。2024/02/04

まーくん

81
品川正治氏(1924-2013)日本火災海上保険社長・会長、経済同友会専務理事を歴任。寡聞にして氏のお名前は存じ上げなかったが、大変な方がいたものだ。財界人なのにリベラルで信念の人。戦時中の三高で起きた軍人勅諭読み替え事件で生徒総代として責任を取り、志願して一兵卒として中国の最前線へ送られる。戦後、復員船で出会った憲法(草案)第九条に感激し、生涯その思想を守り抜く事で全くブレなかった。激戦地で死線を越え生き残った身には、その条項は限りなく大事に思えたことに違いない。復員帰国後、東大法学部進学。⇒2022/06/24

shushu

7
「戦争を経験した者にとって--それも最前線での死闘を体験した者にとって、「戦後」が終わることはない」という冒頭から引き込まれる。60年安保での企業組合の参加、沖縄の本土復帰時の通貨両替について、初期のダボス会議や変人のロケット博士というマスコミイメージだった糸川英夫の得体のしれない実像他、他では全く読んだことのない読みどころ満載。2019/04/30

オサム兄ぃ

7
後書きの日付が2013年8月10日で亡くなるのが29日。まさしく遺書である。 旧制三高の生徒会長であった著者は、ある事件によって日中戦争の最前線に送られる。圧倒的な敵の砲火の下、数メートル先の塹壕で著者の名を連呼する同僚兵士の死を、身をかがめてやり過ごすしかない体験をする。地獄である。だから著者の戦後は終わらない。企業人として、大手保険会社のトップ・財界人首脳の一角を占めるまで出世しながらも、復員船で出会った憲法9条の理念への信頼とそれを実践する正義を貫き通していく。2014/06/01

がんぞ

3
昨年の死亡記事で「こんな凄い人がいたのか」と思った。昭和15年、三高の《軍人勅諭誤読事件》で級長として責任を取って退学し「最前線に送って下さい」地獄の戦場でトラウマ…。戦後東大に入学したが十歳上の人妻(上流の元お嬢さん)と左翼思想で意気投合し実家からは勘当。学費を稼ぐのに中学教師をやりながら在学。最終学年には同時に行われた二つの試験を掛け持ちし16単位をとる超絶美技。日本火災に入社…。本書の肝は豊田佐一郎に講義した《製造業は進歩の欲望を満たそうとする、損保はそれにブレーキをかける》の極意。バブル崩壊で無傷2014/10/01

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