内容説明
連邦国家を目指す「統合」の物語は終わった。けれども、もはやEU抜きの統治は考えられなくなっている。「ポスト統合」を生きるヨーロッパをどう捉えたらよいのか。EUの形成過程やその内的なダイナミズムの分析、統合の思想的検討などを通じて、ヨーロッパ統合のもつ豊かな含意を引き出していく。気鋭の国際政治学者がEUの実像と論理に迫る意欲作。
目次
ヨーロッパ統合の政治学―EUの実像と世界秩序のゆくえ
第1部 EUの歴史的形成―統合リーダーシップのドラマツルギー(ジャン・モネ―「ヨーロッパの父」は何を創ったのか;ジャック・ドロール―中興の祖はどう動いたのか;マーガレット・サッチャー―劇場化するヨーロッパ)
第2部 ポスト統合を生きるEU―冷戦、拡大、憲法(鏡としてのヨーロッパ統合―「地域」の作り方と安全保障、経済統合、人権規範;拡大ヨーロッパの政治的ダイナミズム―「EU‐NATO‐CE体制」の終焉;統合の終焉―フランス・オランダによる欧州憲法条約否決は何を意味するのか)
第3部 危機の下のEU/ユーロ―正統性、機能主義、デモクラシー(ポスト・ナショナリズムにおける正統化の諸問題―国家を超えたデモクラシーは可能か;ユーロ危機の本質―EUの正統性問題からグローバルな「政治」危機へ)
第4部 国際政治思想としてのEU―世界秩序における主権、自由、学知(ようこそ「多元にして可分な政治体」へ―EUにおける主権と補完性;国際政治における自由―EUシティズンシップの問いかけ;日本におけるEU研究の可能性―方法論的ナショナリズムを超えて)
著者等紹介
遠藤乾[エンドウケン]
1966年生まれ。北海道大学法学部卒業。カトリック・ルーヴァン大学修士号(ヨーロッパ研究)、オックスフォード大学博士号(政治学)。欧州委員会「未来工房」専門調査員等を歴任。現在、北海道大学大学院法学研究科・公共政策大学院教授。専攻は国際政治、ヨーロッパ政治(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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