笑いの力

  • ただいまウェブストアではご注文を受け付けておりません。
  • サイズ B6判/ページ数 156p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000257565
  • NDC分類 141.6
  • Cコード C0095

内容説明

狂言、川柳、落語―、笑いの伝統が数多くあるのに、なぜ現代人は笑いの力を忘れてしまったのでしょうか。笑いを深く考えてきた三人の識者が、古今東西の笑いを考察します。本書は、人間の生き方や社会の仕組みを相対化し、そのあり方を再発見させる笑いの効用を論じた、シンポジウムの記録です。閉塞化した日本の状況に風穴をあける、笑いの旋風をお楽しみください。

目次

児童文化のなかの笑い
脳と笑い
文学と笑い
シンポジウム 笑いの力

著者等紹介

河合隼雄[カワイハヤオ]
臨床心理学者。1928年生まれ。京都大学数学科を卒業後、高校の数学教師となり、同時に臨床心理学を学びはじめる。スイスのユング研究所に留学し、日本人で初のユング派分析家の資格を取得。帰国後はユング心理学の普及につとめるとともに、臨床心理学の発展に力をつくす。また、欧米と異なる日本人の心性を考えるために、日本の神話や宗教を研究。海外でも多くの研究を続けている。『河合隼雄著作集』1期・2期に業績はまとめられている。『昔話と日本人の心』で大仏次郎賞、『明恵 夢を生きる』で新潮学芸賞を受賞

養老孟司[ヨウロウタケシ]
東京大学名誉教授。1937年生まれ。医学博士。東京大学医学部卒業。同大学院博士課程修了。東京大学医学部教授、北里大学大学院教授を歴任。専門は解剖学

筒井康隆[ツツイヤスタカ]
作家。1934年生まれ。同志社大学文学部卒業。1960年、SF同人誌『NULL』を主宰。この雑誌に発表した「お助け」が江戸川乱歩に認められ、作家活動を始める。『虚人たち』で泉鏡花文学賞、『夢の木坂分岐点』で谷崎潤一郎賞、『ヨッパ谷への降下』で川端康成文学賞、『朝のガスパール』で日本SF大賞、フランス政府よりシュバリエ章、フランス・パゾリーニ賞、『わたしのグランパ』で読売文学賞をそれぞれ受賞。映画、演劇、テレビなどにも出演し、俳優としても活躍
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きみたけ

56
2004年に行われた「絵本・児童文学研究センター」主催セミナー「笑い」をもとに加筆された一冊。臨床心理学者の河合隼雄氏、医学博士の養老孟司氏、作家の筒井康隆氏の三氏による個々のお話と、女優で落語家の三林京子氏(桂すずめ)をゲストに加え、人間の生き方や社会の仕組みを相対化しそのあり方を再発見させる「笑い」の効用についてシンポジウムを展開してます。正直思っていたのとちょっと違ってましたがそれなりに良い本でした。三林京子さんの「生きているだけで丸儲け」、養老さんの「最後に笑うものが最もよく笑う」が良かったです。2022/01/15

コウメ

53
糖尿病の人に「大学の講義」と「漫才」をみて食後の血糖値を測ると漫才の方はあまり上がらない。笑いは自然の大笑いや微笑みだけでなく作り笑いや思い出し笑いでも効果がある。/赤ちゃんは3ヶ月たった時にだんだん人間としての体勢ができてきて自分と外がわかってきた時に外に対して微笑みが生まれる。その微笑を見てお母さんは「よしよし」となる。つまり赤ちゃんは母性を引き出す力をもっている。赤ちゃんの微笑みを見てこちらも「よしよし」や「おお」となる。それで関係ができるつまり関係ができていくという根本に微笑みがある。2021/10/20

マエダ

38
論理的に構築された世界の綻びみたいなものを感じるとわれわれは笑います。知的な笑いの表現。2023/10/30

寛生

36
【図書館】河合先生が赤ちゃんが三ヶ月くらいになると、誰にも教わらないのに微笑みだすー「ニコッと笑うようになり」、その笑いの力が他者である〈母〉の「母性を引き出す力になっている」と観察されているのが印象的。〈私〉と〈他者〉との関係性が出来るときに〈微笑み〉があるという河合先生は永年〈他者〉の声に出来ない〈痛み〉〈苦しみ〉〈トラウマ〉を声にしてきたのだと思いを馳せる。それから、〈笑うこと〉はいえば〈反権力〉となりよりよい社会をつくっていける要素になのだと思わさせられた。笑うと血糖値もあがらないらしい。2014/01/10

roughfractus02

9
子ども、脳、大人の3つの観点から笑いを語る3者の共通点は、虚構と現実の交流が笑いを引き起こすこと、論理性や真面目さがジョークや皮肉を生み出すこと、悲劇と喜劇は紙一重である文化の上で笑いは効力を存分に発揮することの3点である。劇場や教会が中心にある西洋古来の都市は現実生活の中に虚構空間を置いて唯一神を笑う文化を作ったが、現実に特化された現代都市は両者のバランスが歪んでいる。文化の要素から息抜きへ格下げされた笑いだが、意識重視のIT社会でも、脳は体を包む無意識とつながり、大人は子どものように笑うことはできる。2023/03/06

外部のウェブサイトに移動します

よろしければ下記URLをクリックしてください。

https://bookmeter.com/books/9804
  • ご注意事項