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墓標なき草原〈上〉―内モンゴルにおける文化大革命・虐殺の記録

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  • サイズ B6判/ページ数 276p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000247719
  • NDC分類 222.6
  • Cコード C0022

出版社内容情報

文革時期にモンゴル族の5人に1人が「民族分裂主義者」とみなされ、公式発表でも3万人近くが殺害された内モンゴルで何があったのか。体験者への綿密な聞き取り、同時代資料、国内外の研究を渉猟し隠蔽されたままの過去を明らかにする。

内容説明

他に先がけて文革の火蓋が切られた内モンゴルでは、かつて日本時代に教育を受けた者たちが、「内モンゴル人民革命党」一派として粛清された。さらに階級闘争論によって、漢族による草原の開墾とモンゴル族の迫害が正当化され、家畜と遊牧地は奪われ、モンゴル人への殺害がエスカレートしていった。戦慄の悲劇を招いた内モンゴルの文革。その要因と拡大化の実態を、体験者の証言を軸に克明にたどる。対日協力者はなぜ民族分裂主義者に仕立てられたのか。

目次

はじめに―内モンゴルの文化大革命に至る道
「社会主義中国は、貧しい人々の味方」―中国共産党を信じた牧畜民バイワル
第1部 「日本刀をぶら下げた連中」(日本から学んだモンゴル人の共産主義思想―一高生トブシン、毛澤東の百花斉放に散る;「亡国の輩になりたくなかった」―満洲建国大学のトグスの夢;「モンゴル族は中国の奴隷にすぎない」―「内モンゴルのシンドラー」、ジュテークチ)
第2部 ジュニアたちの造反(「動物園」の烽火―師範学院のモンゴル人造反派ハラフー;陰謀の集大成としての文化大革命―師範大学名誉教授リンセの経験;漢人農民が完成させた「光栄な殺戮」―草原の造反派フレルバートル)

著者等紹介

楊海英[ヨウカイエイ]
モンゴル名オーノス・チョクトを翻訳した日本名は大野旭。1964年、内モンゴル自治区オルドス生まれ。北京第二外国語学院大学日本語学科卒業。89年3月来日。国立民族学博物館・総合研究大学院大学博士課程修了。博士(文学)(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

Willie the Wildcat

58
歴史の齎す民族の分断。日中露、時の大国の意図に振り回される中、民族意識を守り続ける苦難。「狗咬狗」・・・、嫌な言葉!文化大革命は、内モンゴル人民の粛清が当初の目的!?印象的なのがジュテークチ医師。想像を絶する自身への迫害も顧みず、2万人もの人たちを”転院(逃亡)”させた満州国のシンドラー。信念はもちろん、氏の行動力には敬意。文化大革命が”歴史”となるにはその評価が必要も、時間”が如何に人の心を蝕む、あるいは癒すのか次第と感じる。 2017/05/19

おおた

14
モンゴルといえば草原? 白鵬? それはモンゴル国。もう一つ、内モンゴル自治区がある。モンゴルの人たちが住むはずの土地に漢人が国を挙げて入り込み、遊牧の民の草原を耕地として管理したため、土地の利用に決定的な文化的決裂を見、結果として内モンゴルの人たちは文化大革命の矢面に立たされることとなり、真っ先に標的とされて最後まで虐げられた。拷問で内臓を破壊され、亡くなった人の数は中華民国公式発表で2万人、実際にはその10倍、それ以上とも……。こういうことを知らずにいてはいけないと思う一方、中国からの反論が聞きたい。2016/09/13

姉勤

8
一生懸命、沖縄独立などと声高に叫んでいる人たちに読んで欲しい。狡兎死して走狗烹らる。侵略したい土地の知識・富裕層を、貧しいが狡知な現地人を使って排除し、財を奪い社会を破壊させたあと、彼らを売国奴として同族に排除させる。たがて民族の力を喪った”蛮族”は易々と地上から消させる。中共が、自他国民に日本人がどれだけ「悪」か、それを言わねばならぬのは、自らで楽しんだ同じ方法で殺されるからだろう。自らの犯した事実を完全に消すために、現在進行形でチベット人とウイグル人の絶滅は行われている。しかし、これが人類史だ。2013/09/22

yooou

8
☆☆☆☆★ 毛沢東の文化大革命をモンゴル側からみた陰謀ならぬ陽謀と云う名の迫害と弾圧の歴史。これはかなり重い内容でした。2010/05/29

akito

4
ジェノサイドに関する本は情報の出自が微妙なところもあり表現も私情が入るためにあまり感情移入しないように読むことに努めた。とはいえ内モンゴルに関する文献は少ないので時代の流れを大まかに掴むための資料としては貴重であると考える。2014/06/11

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