出版社内容情報
世紀を超えて私たちを魅了しつづける、ヴァルター・ベンヤミン。たんなる言語論にとどまらない、認識論、芸術論、などが複雑に織り込まれ、彼の世界像が集約的に表現された最初期の論考を詳細に読み解き、その思想的基盤に迫る。
内容説明
世紀を超えて私たちを魅了しつづける思想家、ヴァルター・ベンヤミン。たんなる言語論にとどまらない、認識論、芸術論などが複雑に織り込まれ、彼の世界像が集約的に表現されている最初期の論考「言語一般および人間の言語について」を詳細に読み解き、その思想的基盤に迫る。著者自身による全訳を併せて収録。
目次
第1章 言語一般について
第2章 人間の言語について
第3章 言語の形而上学的考察
第4章 「楽園」における言語一般および人間の言語について
第5章 「堕罪」ののちの言語一般および人間の言語について
第6章 言語の純化された概念
言語一般および人間の言語について(ヴァルター・ベンヤミン)
著者等紹介
細見和之[ホソミカズユキ]
1962年生まれ。1991年、大阪大学大学院人間科学研究科後期課程単位取得退学。現在、大阪府立大学人間社会学部准教授、博士(人間科学、大阪大学)、ドイツ思想専攻、詩人(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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ころこ
27
『ベンヤミン・アンソロジー』の最初の論文、ベンヤミンにとっても最初期の言語論をかなり詳細に解説しています。前半は言語を6テーゼにわたって定義しています。表象可能な表現の全ては言語であるというように発想が現代思想の記号論に近く、文化論として現代性を有しています。「名づけ」が言語的な本質だとフェティシズムを連想させる言い方をする一方で、人間にしかできない音声によって神に伝達する精神的本質の段階区分は言語的本質の読み替えを通じて啓示の概念に結び付くといった、デリダに批判されそうな不用意さも同居しています。後半は2020/04/27
急性人間病
0
①マルクス哲学とユダヤ神秘主義という飛びつき易そうな背景から共にうまく距離を置いた上で、原文はもとより、その英訳やベンヤミンが重訳本から影響を受けている部分等を事細かに書いてるのには“翻訳者の使命”感があっていい。議論の錯綜のもとになりそうな語意のゆらぎも丁寧に検討している。②各章の補論で虐殺や災害を含めた大量破壊の“表象不可能”性への応用を促す点は概ねわかるが、3章であえてドストの名前が出てくる意図はよくつかめない(彼って反ユダヤ主義じゃなかったっけというのはさておき)。2022/12/10
はる
0
こういうコンセプトの本がもっとあったらいいのに。2021/01/13