働きすぎに斃れて―過労死・過労自殺の語る労働史

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  • サイズ B6判/ページ数 386p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000244565
  • NDC分類 366.99
  • Cコード C0036

出版社内容情報

死にいたるまで働く人びと、それはまるであなた自身の姿ではないかー ふつうの労働者が限界まで働くことによって支えられてきた日本社会。そのいびつな構造を凝視した、変革のための鎮魂の物語。

内容説明

死にいたるまで働く人びと、それはまるであなた自身の姿ではないか―。ふつうの労働者が「しがらみ」に絡めとられながら限界まで働くことによって支えられてきた日本社会。そのいびつな構造が生み出した膨大な数の過労死・過労自殺の事例を凝視し、日本の労働史を描き出す。現状を変えていくための、鎮魂の物語。

目次

1章 過労死・過労自殺―ありふれた職場のできごと
2章 トラック労働者の群像
3章 工場・建設労働者の過労死
4章 ホワイトカラーとOLの場合
5章 斃れゆく教師たち
6章 管理職と現場リーダーの責任
7章 過労死の一九八〇年代
8章 過労自殺―前期の代表的な五事例
9章 若者たち・二〇代の過労自殺
10章 ハラスメントと過重労働のもたらす死
終章 過労死・過労自殺をめぐる責任の所在

著者等紹介

熊沢誠[クマザワマコト]
1938年三重県に生れる。1961年京都大学経済学部卒業(1969年経済学博士)。甲南大学教授などを経て、甲南大学名誉教授、研究会「職場の人権」代表。専攻は労使関係論、社会政策論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

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kotte

15
過労死、過労自殺に至る状況を裁判で認定された事実などをもとにして紹介している本です。今月から極めて忙しい職場に異動するため、戒めの意味を込めて読んでみました。ワークとライフについて、昔はワークがあるからライフもあるという考え方であり、若い頃は超長時間労働にも耐えてきましたが、さすがに家族を持つと考え方が変わりますね。本書を読んで、残された家族の悲しみがわかったので、忙しくても無理しないように、自分の健康第一で働きたいです。2017/07/01

どんぐり

10
過労死・過労自殺は、過重な責務や労働負担による死であり、労働災害である。日に夜を継いで休日もなく働き(かされ)すぎて斃れたトラック労働者、工場・建設労働者、ホワイトカラーとOL、教師、管理者とチームリーダー、20代の若者たち。ここに登場する死の臨界に赴いた人びとの必死の適応が招き寄せる疲弊と死のプロセスをたどることにより、著者のいう「これは私にも起こりえたことかも知れない」という鎮魂の思いが重なる。2012/10/16

makoppe

4
働きすぎて人が死ぬ。そんな過労死・過労自殺の事例がここでは50以上挙げられている。厳しいノルマ、パワハラ、生真面目な性格につけ込むことなどによって、労働は容易に人を殺すものに変容する。そしてそれはどの企業も競争、景気などに影響を受ける以上、潜在的に抱えている構造なのだ。 亡くなった人たちに対して私たちができることは具体的には機能不全に陥っている労働組合を再構築することであろう。一人親家庭で育ち、夢のために大学を辞めて非正規で働く青年が残した言葉が忘れられない。「無駄な時間を過ごした」。働くとは何ぞや。2015/03/09

カモメ

3
過労死・過労自殺の遺族による長期にわたる労災申請の闘いによって、後に労災認定される上での基準となる判例を獲得していきました。労災認定基準も、過労死が日々の過労の蓄積によりもたらされるものだと認定され、過労死ラインが設定されるなどしていきました。また、過労自殺については業務外か業務上であるかの判断がより難しくなります。「平均人基準説」ではなく「本人基準説」という捉え方が印象的でした。終章の中身は熊沢さんらしくて好きです。過労死・過労自殺はわたしたち市民の身近な問題でもあるのです。2017/06/14

シュミットさん

3
死に急いだ無念な労働者とその家族の哀歌が響く。2010/10/21

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