始まっている未来―新しい経済学は可能か

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  • サイズ B6判/ページ数 190p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000244503
  • NDC分類 331.04
  • Cコード C0033

内容説明

世界と日本に現れている未曾有の経済危機の諸相を読み解きながら、パックス・アメリカーナと市場原理主義で串刺しされた特殊な時代の終焉と、すでに確かな足取りで始まっている新しい時代への展望を語り合う。深い洞察と倫理観に裏付けられた鋭い論述は、「失われた二〇年」を通じて「改革者」を名乗った学究者たちの正体をも遠慮なく暴き出し、「社会的共通資本」を基軸概念とする宇沢経済学が「新しい経済学は可能か」という問いへのもっとも力強い「解」であることを明らかにする。

目次

第1回 市場原理主義というゴスペル
第2回 日本の危機はなぜこうも深いのか
第3回 人間らしく生きるための経済学へ
第4回 新しい経済学の息吹
補論1 社会的共通資本としての農の営み―農業と食糧の危機にどう対応すべきか
補論2 社会的共通資本と二一世紀的課題
三つの訣別―あとがきに代えて

著者等紹介

宇沢弘文[ウザワヒロフミ]
1928年、鳥取県に生まれる。1951年東京大学理学部数学科卒業。専攻は経済学。現在、日本学士院会員、東京大学名誉教授。1997年文化勲章受章。2009年、地球環境問題の解決に向けて貢献した個人や団体に贈られる「ブループラネット賞」を受賞

内橋克人[ウチハシカツト]
1932年、神戸市に生まれる。1957年神戸商科大学卒業。神戸新聞記者を経て、1967年から経済評論家。2006年宮沢賢治・イーハトーブ賞、2009年NHK放送文化賞受賞(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

おおにし

18
2009年、雑誌『世界』に掲載された宇沢氏と内橋氏の対談。P.42「日米構造協議の核心は、日本にGNPの10%を公共投資に当てろという要求でした。しかも、その公共投資は決して日本経済の生産性を上げるために使ってはいけない、全く無駄なことに使えという信じられない要求でした。」総額630兆円がレジャーランドなど無意味な投資に使われ、その結果借金を背負った地方自治体は夕張市のように破綻した事実が”失われた30年"の原因の一つであることをすっかり忘れていた。米国の植民地のままでは日本経済の復興は難しいだろう。2023/02/15

カイロス時間

7
宇沢さんの思想が知りたくて手に取ったが、内橋さんの主張が強めに入っていて面食らう。まあ、二人は同じ方向を向いているのだろうけれど。シカゴ学派・新自由主義者による市場原理主義と、それに追随するだけの日本政府・学界への批判が基調か。宇沢さんは官僚批判も強い。共生の理念や農村の復活などには共感しつつも、語られたイメージにはやや違和感も覚えた。世代的なギャップだろうか。実際の共生を知っている世代と知らない世代の?ともあれ、社会正義を唱える人間を未熟者扱いする風潮を止めるべきだ、という内橋さんの言葉は響く。2020/02/24

Humbaba

7
市場原理が働いている世界では,自己責任が基本となっている.それは自分を守るだけの力を持った人間にとっては都合の良い世界である.つまり,弱者にとっては非常に辛い世界であり,今後も発展していく世界とは相容れないものであろう.2011/04/11

やまやま

6
ちょうど民主党政権の誕生のころに書かれていて、未来を変えていこう、現状は良くないんだ、という意気込みはよく分かりますし、労働者への分配が非常によろしくないという視点も了解できます。環境に目を向け民生を充実しようということも結構だと思います。ただ、現実へのアプローチとしては、市場原理を上手に活用して、ほどほどに幸福感がもたらされる処方箋の提案を求めてしまいたくなります。その観点から補論2は良くまとまっており、医療と数学教育、また農業を「分権的」に扱うことで改善が図られるとしています。2019/05/13

Hiroki Nishizumi

5
良かった。少し内容が散漫なきらいがあるが、社会的共通資本を軸にした宇沢の主張はとても頷ける。レールム・ノヴァルムについてさらに追究したい。2017/01/24

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