出版社内容情報
同質性の政治から複数性の政治への転換は、いかにして可能なのか。表象には還元されない、「現われの政治」を擁護し、新たな公共性のありかた、社会的連帯再生の可能性を考える。独自の政治理論を展開してきた著者初の論文集。
内容説明
民主的な公共性にむけた、同質性の政治から複数性の政治への転換はいかにして可能なのか。複数性を消去してしまう「表象の政治」に対し、表象には還元されない、具体的な「誰か」として、これまで現われることを封じられてきた自己を政治的に提示する「現われの政治」を擁護し、社会的連帯再生の可能性を考える。
目次
第1章 デモクラシーと複数性
第2章 デモクラシーと社会統合
第3章 表象の政治/現われの政治
第4章 公共性の二つの次元
第5章 社会の分断とセキュリティの再編
第6章 社会的連帯の理由
第7章 親密圏のポリティックス
第8章 政治的責任の二つの位相
第9章 丸山眞男における多元化のエートス
著者等紹介
齋藤純一[サイトウジュンイチ]
1958年生まれ。早稲田大学政治学研究科博士課程単位取得退学。現在、早稲田大学政治経済学術院教授。政治理論・政治思想史専攻(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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アルゴス
2
ハンナ・アレントの著書の訳者でもあり、アレントの思想の核心である複数性という観点から、政治のさまざまな問題に切り込もうとする。連帯論や政治責任論など、この観点から取り出せる多くの論点がある。アレントの理論の限界などもきちんと指摘しているが、少しアレントに寄りすぎるだろうか。2018/02/11
竹薮みさえ
2
これはもう一度熟読したい。読書会などやりたい。字面は固いけど、ごくまっとうなことを言ってるだけ。生活の現場はいつも学問より先に進んでいる。学問は過去形でしかかたれない。問題は生活の現場が言辞を持たないことと、学問の現場への生活の浸透度合いが低いこと。公共性は、官じゃなくて民の側にある。もうずっと前からそうだよね。、2013/08/01
バーニング
2
ゼミの教授から薦められ通読。思考のフロンティアの『自由』と『公共性』は読んでいたので斎藤純一についての予備知識はあったのでいくらか理解できた部分はあるが、理解の容易な文章ではないしまた読み返すことになると思う。論文集という形式にはなっているが相互にかみ合う部分もあり、一冊でこれまでの斎藤純一の仕事を概観できる構成になっている。あとがきに主要な主張や論点がコンパクトにおさまっているので、そちらから読むのもアリだろう。2011/12/04
メルセ・ひすい
0
早大系教授 わかりにくい・・ 民主的な公共性にむけた、同質性の政治から複数性の政治への転換はいかにして可能なのか。これまで現われることを封じられてきた自己を政治的に提示する「現われの政治」を擁護し、社会的連帯再生の可能性を考える。2008/11/27