自由の平等―簡単で別な姿の世界

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  • サイズ B6判/ページ数 349,/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000233873
  • NDC分類 316.1
  • Cコード C0012

出版社内容情報

働ける人が働き,必要な人がとる.一人一人が生きていくこと,その自由を守ることこそ,何より大切なことだから.「自由の平等な分配」から始まるオルタナティブな世界への道筋を,気鋭の社会学者が論じつくした意欲作.

内容説明

少子高齢化、不況と失業、逼迫する財政。私たちの不安をかき立てる社会状況への対処法として近年もてはやされるのは、自己決定と自己責任、能力主義と自由競争であり、社会全体の調整・介入は批判されがちである。本書は、リバタリアニズム(自由至上主義)やリベラリズムのこうした磁場に対抗して、自ら障害者の介護や医療問題にも積極的に関わる気鋭の社会学者が、必要なものを必要な人に届けるための社会的分配の正当性を、さまざまな角度から徹底して考察したものである。

目次

序章 世界の別の顔
第1章 自由による自由の剥奪―批判の批判1
第2章 嫉妬という非難の暗さ―批判の批判2
第3章 「根拠」について
第4章 価値を迂回しない
第5章 機会の平等のリベラリズムの限界
第6章 世界にあるものの配置

著者等紹介

立岩真也[タテイワシンヤ]
1960年生まれ。東京大学大学院社会学研究科博士課程修了。信州大学医療技術短期大学部等を経て、現在立命館大学大学院先端総合学術研究科助教授。専攻、社会学
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

テツ

18
生産と再分配による(なるべく)平等な世界。努力や結果に見合ったオイシイ思いができるということ自体を不平等だと感じることについての違和感は前々から抱いていたけれど、ありとあらゆる人間に文明的な生を保証した上で、優れた人間にはそこにかかるコストを差し引いて余った分を利益として上乗せしよう的な感覚は納得できました。富の偏りが問題なのではなく、食うや食わずの人間が存在していることが問題なのだから、そのあたりを混同してはいけないよな。2021/07/01

hakootoko

14
分配でき、分配してよいものを、機関(世界政府?)が集めて、各人に足りない分をあげる。できる/できないで得るものに差があり、それが生きるのを難しくしたり、体験を制約したりする。分配すればそれはましになる。シェアリングオールザワールドを想像するだけでなく、ガチで考えるとこうなるという本。ちなみに分配すると破産するスリルを味合う自由がなくなるじゃないかという反論があるらしい。変なの。2018/05/20

ふにゃ

4
人間の存在そのものを大切にする立場から、生産と分配の結果の平等が導き出される。そして、それは簡単に実現できる社会なのだ。/本書の対象となる人間とは、どこにでもいるような具体的な人間である。つまり、どこにも存在しないような抽象的な人間ではない。また、反論する人も「嫉妬」のような人間の情動に訴えかけてくる、そばにいるような、人間的な人物である。つまり、アカデミックな世界に存在している人たちからの反論だけではない。/私がこの本から学んだメッセージとは、具体的にそばにいる人たちと対話の中で論を進めること、である。2013/06/14

おちこち

3
文章も主張も平易だが、読み解くのが難しい。主張は魅力的。2012/11/22

じょに

3
立岩センセの文章は読みにくい。読みにくいが読みごたえがある。言葉にすると当たり前なことになってしまうのだが、それは本当にそうであるしかないのか、と、問い続ける姿勢が大切なんだと教えてくれる。それは分からない、難しい、というところで終わるのではなく、がしかし、と食い下がる。こういう話に対して、現実にそうはならないとうそぶくのはて仕方がない。暴力の問題は考えるべきだと思うけど。更に、これを誰に向けて書いているのか、って疑問もなくはない。読まれるべきだと思うから余計に。2009/02/09

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