出版社内容情報
セクハラはなぜアタマにくるのか? 女性のためのポルノだってあったっていい!? セクシュアリティをめぐる複雑な問題を日常生活の現場から解きほぐし,自分らしくのびのびと自信をもって生きるためのフェミニズムの実践.
内容説明
セクハラの何が問題なのか?混迷するセクハラ論議に指針を与え、セクハラや性暴力、ポルノ・売買春など性をめぐる現象にひそむジェンダー力学を解剖する。法や経済、文化とセクシュアリティとが織りなす権力構造をあぶりだし、「セクハラNO!」を武器に挑戦するフェミニズムの実践書。フェミニズムの理論的成果を一人ひとりのより自由で可能性豊かな生き方につなげる。理論のためのフェミニズムから女性のエンパワーメントのツールとしてのフェミニズムへ。
目次
1 セクハラ徹底解剖(セクハラの誤解と真実;セクハラ「対策」を超えて)
2 性暴力に立ち向かう(性暴力裁判の展開;性暴力問題からエンパワーメントへ)
3 ポスト・セクハラ時代をめざして(ポルノから学ぶこと;売買春と援助交際;生きられる場のフェミニズム)
著者等紹介
牟田和恵[ムタカズエ]
1987年京都大学大学院文学研究科博士課程退学。佐賀大学を経て、現在甲南女子大学人間科学部教員。専攻は社会学・女性学
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感想・レビュー
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吉野ヶ里
10
良い。フェミニズムは女性の権利拡大運動なので、あくまでも女性の立場からの主張ではあるが、フェミニストの主張(牟田和恵の主張)として、大筋では論が通っており、フラットな視点でものを捉えている。また理想論としてではなく、未だ係争中の権利闘争の中で戦線を押し出すための姿勢を示している。特にセックスや売春についての著者の意見は同意できる箇所が多かった。性愛一致思想が、性の神聖さや罪悪感を育む一旦となっていることは間違いない。性は神聖でも恥ずべきことでもなく、愛情との結びつきは必然ではない。2020/06/26
keepfine
0
いわゆる批評的なフェミニズムとは一線を画した良著。性的被害者へのエンパワメントの手薄さを指摘するあたりは同意。2013/09/01
はるさむ
0
”ある女性たちにとって性役割を強要されることが差別以外の何ものでもにと感じられるとしても、多くの男性にとっては現在でも、女性に「女性らしさ」を期待することが女性差別であるとは想像の範囲外である。彼らは「女性の入れたお茶はおいしい」と本気で考えているのであり、それはむしろ女性を評価するゆえであると思っている。”25P2016/12/21
Yukipitasu
0
有名な人の本で良い本だったと思うけど、現在トランスヘイトにバリバリ加担しちまってんのよな…2020/10/22
季奈
0
二十年前の本ということもあり、些か主観が強すぎるきらいはあれど、今日のフェミニズムの地盤を固めることに貢献したであろうことは、想像に難くない。 主観が強い点を論うなら、ファンタジーのないポルノなどは、流石に商業として成り立たないであろう。 この、「性の商業化」に関しても、牟田先生は言及しているが、職業としてのAV女優の尊厳を、攻撃するもののように読める。(そもそも、働くこと自体が、人の尊厳を少なからず貶める) それに、身体的に異なる男女をあたかも同列に語るのは、両性の視点からも、不毛ではないだろうか。2020/10/26