出版社内容情報
近代日本にとってアジアとは何だったのか.19世紀以降の複雑にからまりあった思想連鎖,人の移動,戦争と植民地化の歴史を通して東アジアの近代が形成されて行く中で,日本はいかなる役割を果たし,いかにアジアを認識したのか.
内容説明
「アジアという空間」をめぐる壮大な思想史。近代日本は「アジア」をいかに認識し、いかに交わり、いかに構築しようとしたのか。
目次
アジアへの思想史的問いかけとその視角
第1部 アジア認識の基軸(境域を画する言説;思想基軸としての文明;思想基軸としての人種 ほか)
第2部 アジアにおける思想連鎖(国民国家形成と思想連鎖;西学と東アジア世界;西学による思想連鎖 ほか)
第3部 投企としてのアジア主義(隠された政策原理;外交論策としてのアジア主義言説;二つの国家体系とアジア間外交 ほか)
著者等紹介
山室信一[ヤマムロシンイチ]
1951年生まれ。東京大学法学部卒。比較法政思想・文化連関論専攻。東北大学助教授を経て京都大学人文科学研究所教授
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感想・レビュー
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ららぴっと
1
「アジア」は、ヨーロッパから与えられた規定である。そのような「アジア」をどうとらえるのか。その中で日本は、いかなる意味を持って存在してきたのか。こららの視点をふまえて、日本とアジア・世界のつながりを明らかにするのが目的。興奮するおもしろさがあった。でも、一人で読むのはしんどいね。また、ほんとうに正しく著者の意味を汲み取っているのかも不安。読みこなすには、基本的な歴史分野の素養が必要だと思われる。2013/03/24
rubeluso
0
内容は非常に多岐にわたり情報量も莫大。ようやく読み終わった……。本文中から引用すると「アジア主義を単なるナショナリズムの拡張としてでなく、地域世界の価値の共存体系として(中略)いかに欧米をはじめとする他の地位の人々に提起しうるのか。(中略)その問いとしてのプロジェクトに20世紀の日本人は答えることができなかった」ということを丹念に丹念に史料を駆使しつつ辿った本と言えるはず。現代においても「アジア」という言葉はよく使われる。そういう言説をする人すべてに読んで欲しいがなにぶん物理的にも内容的にも重い2013/09/11