子どもが見ている背中―良心と抵抗の教育

子どもが見ている背中―良心と抵抗の教育

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  • サイズ B6判/ページ数 200p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000228695
  • NDC分類 373.2
  • Cコード C0037

出版社内容情報

追いつめられ思考を停止する教師たち。その状況下で鋳型にはめられ感情を強制される子どもたち――。日本の学校で何が起きているのか。

内容説明

追いつめられ思考を停止していく教師たち。その背中を見つめ、人格の分裂を巧みにしていく子どもたち。教育の現場で何が起きているのか。「君が代」伴奏を拒否したことで処分された教師の苦しみと抵抗の日々。良心のために闘う教師たち。「心の教育」がもたらすもの…。教師と子どもたちの生の声とともに、押しつぶされる学校のいまを鋭く描く。

目次

1 「心の教育」が学校を押しつぶす(一九九八年の中教審答申が推進力に;「伝統・文化」は未来を拓かない ほか)
2 「民間人校長」は、なぜ自殺したのか(民間人校長の死;なぜ前任の校長が処分されるのか ほか)
3 「君が代」強制によって、学校はこんなに変わった(音楽とのかかわり;二〇〇〇年三月の卒業式をめぐって ほか)
4 思いを打ちくだかれる教師たち(通達前から感じていた危機感;教育観 ほか)
5 コミュニケーションを奪われた子どもたち(狂気の沙汰と化す成績評価;先生との関係を歪める自己評価 ほか)

著者等紹介

野田正彰[ノダマサアキ]
1944年、高知県生まれ。北海道大学医学部卒業。長浜赤十字病院精神科部長、神戸市外国語大学教授などを経て、関西学院大学教授。専攻は比較文化精神医学。おもな著書に『コンピュータ新人類の研究』(文藝春秋、大宅壮一ノンフィクション賞)、『喪の途上にて』(岩波書店、講談社ノンフィクション賞)などがある(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

katoyann

19
国旗国家法成立以降の学校教育現場の荒廃を精神科医の専門的知見を交えて分析した異色の書である。愛国心を育てると称し、子どもに課した「心のノート」の提出も「君が代斉唱強制」も国家権力による思想・良心の自由の侵害である。そして著者は、君が代伴奏を拒否した音楽教員への聞き取りをもとに、理不尽な権力行使により良心が踏み躙られたため、抑うつ症状を呈した例を分析する。クリスチャンの当該教師は、戦時中に君が代斉唱を拒否した韓国人牧師が拷問を受けたという歴史を知るために、良心的に拒否した。良心の侵害は差別の肯定を意味する。2021/07/24

perLod(ピリオド)🇷🇺🇨🇳🇮🇷🇿🇦🇵🇸🇾🇪🇸🇾🇱🇧🇨🇺

3
読友さんの感想で読む気になった本。2006年著。作者は精神科医で、以前読んだ本(名前を失念)で「心理テストなんて当たりっこない、作った本人が言うんだから間違いない(意訳)」と書いてあって、信用している。 「心のノート」と河合隼雄について。元々彼についてはこの件で胡散臭い人だと思っていたが、案の定。『フロイトとユング』でも”おじさん”を発揮。まだ小此木氏の方がましだった。そしてこうした価値観の人をなぜ”リベラル”なメディアは持ち上げるのか疑問だ。→続く2021/08/06

ERNESTO

1
『させられる教育』から4年後の続編。 都教委の03年「10.23通達」で、入学式、卒業式等における国旗掲揚及び国歌斉唱の実施について、その実施指針や、実施に当たって、教職員が本通達に基づく校長の職務命令に従わない場合は、服務上の責任を問われることを、教職員に周知すること、が決められて以降、学校は生徒も教師も「自分で考え、判断し、自立した人間として生きる」場でなく、抗う教員の精神をあらゆる手を使って打ち砕き、強制にただ従うだけのディスコミュニケーションの場と化している。 2013/07/13

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