境界線の政治学

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  • サイズ B6判/ページ数 195p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000225359
  • NDC分類 311.04
  • Cコード C0031

内容説明

「9・11」と、急激なグローバリゼーションの進行は、これまでの政治観の中心であった境界線にもとづく思考を無効にした。現在、われわれが直面している問題の本質とは何か。ポレミックなトピックを通して、幻想にもとづく同質性を単位にした政治秩序がもつ問題と限界を明らかにし、主権の絶対性と、境界線内部の最適化を志向する伝統的な政治概念をラディカルに更新する理論的跳躍。

目次

はじめに―境界線の政治をめぐって
第1章 政治と境界線―さまざまな位相
第2章 全体性・多元性・開放性―政治観念の変容と政治理論
第3章 寛容と差異―政治的アイデンティティをめぐって
第4章 普遍的なるもののヘゲモニー―エルネスト・ラクロウの政治理論
第5章 契約と闘争―新しい戦争か?
第6章 二分法の暴力―マイケル・ウォルツァー正戦論をめぐって
おわりに―主権・境界線・政治

著者等紹介

杉田敦[スギタアツシ]
1959年生まれ。東京大学法学部卒。専攻は、政治理論。法政大学法学部教授
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

あなた

4
アガンベンが、市民権が付与されるとともに、生かされるものと生かされないものに分割されることとなったというようなことをどっかでいってるのを聞いて、その興味の一環として大学キャンパスのベンチに座って読んでいた。大学キャンパスのベンチに座って読めるような本だった。境界を引くことの政治性ということでカール・シュミットがよくでてくる2009/07/25

ことぶき あきら

2
いかなる立場であっても、我々は「境界線(の政治(学))」からは自由になれない。あらゆる境界線は恣意的で相対的なものであることを自覚すること。境界線からの解放ではなく、境界線が絶対的なものであるという考えからの開放というのが本書を貫くテーマだと思います。本書は著者の論文を集めたものですが、そうは思えないほど一冊の本としてまとまりがありました。丁寧に書かれていて読みやすかったです。2013/01/27

mEmO

2
境界線を引くことになぞらえて政治を語る本。線を引く以上、囲いの外にも囲いの中にも、おさえつけられる人が生まれることを説く。様々な例を出しつつ、思考の型を提供してくれるが、こう引けばいいという著者自身の主張はなし。じっくり考えようという方向性の呈示にとどまっているのを物足りないと感じるかどうか。2011/09/19

Shogo

1
社会が存在する以上、境界線による二分法の暴力は不可避である。そして、外部に位置付けられた者たちの声を私が代弁することは出来ない。だが、存在論的に社会的人間が排除された人々の上に成り立っている以上、暴力と他者の痕跡が私の根底にあることを忘れてはいけない。2015/12/20

1
境界線という見方から政治を見る内容であった。境界線が差異や排除、抑圧を生み出している一方で、われわれは囲われることによって生活を守られるなどの恩恵を受けている。また境界を引く、区別をつける、といった行為はわれわれの日常の行為にも根差している。私たちはこうした境界線の両義性を引き受けつつ、共生のための新たな政治学を探っていかなければならない。2015/11/10

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