格差社会ニッポンで働くということ―雇用と労働のゆくえをみつめて

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  • サイズ B6判/ページ数 260p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000224789
  • NDC分類 366.021
  • Cコード C0036

出版社内容情報

「ふつうに働くひとびと」をみつめつづけてきた著者が、今の日本を「格差社会」にしている決定的な要因としての労働の状況を、多方面から検証する。急速に進む雇用の多様化といった、働くことをめぐる変化をどう考えればよいのか。これまでの格差論議には抜け落ちていた視角から語られる、現状分析と格差是正への道行き。

内容説明

一九九〇年代後半から加速度的に顕在化した雇い方・働かせ方に関する企業労務の展開からもたらされた、雇用形態の多様化、ワーキングプアの急増、働きすぎの人たちと働けない人たちの共存、労働条件が悪くても声をあげられないこと…つまり、“労働問題”こそが、日本をまぎれもなく格差社会とさせているのだ。格差社会論はこれまでも数多いが、労使関係の視点から「労働そのもの」をみつめた議論はいまだなかった。本書は、それをみつめつづけてきた著者だからこそ可能となった新しい格差社会論であると同時に、労働研究の到達点から語られる“日本の労働”入門でもある。

目次

1章 労働のパノラマ―労働者の第一次的階層形成
2章 格差と不平等をみる視点
3章 大企業と中小企業の処遇格差
4章 個人処遇としての賃金格差
5章 正規雇用と非正規雇用―女性労働者の位置
6章 正規雇用と非正規雇用―若者たち
7章 「働きすぎ」と「働けない」の共存
8章 「官民格差」と公務員バッシング
9章 困窮する人びととセーフティ・ネットワーク
終章 格差是正と労使関係

著者等紹介

熊沢誠[クマザワマコト]
1938年三重県に生れる。1961年京都大学経済学部卒業(1969年経済学博士)。甲南大学教授などを経て、甲南大学名誉教授、研究会「職場の人権」代表。専攻は労使関係論、社会政策論(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

きいち

22
自分の職場以外のことはなかなか目には入らない、しかもその視界もとても限定された人びとで構成されてる。そうすると、目の前の賃金や処遇の違いは、その人の業績なり、あるいは怠惰さとか能力とか性格的な問題だといった個別のものに収斂しがちだ。それなりに仕事して学んでて広い視野をもってるパッと見まっとうな方が、そうした狭さに囚われていたりもする。この本は、その狭いとこから連れ出し俯瞰させてくれる良書。それぞれの課題への提言も安定した立場に留まることなく宙吊り状態でやっててくれてて、脳内で対話を成立させやすいのもいい。2014/08/13

takao

2
ふむ2022/07/08

カモメ

2
「相対的に恵まれない人々が、生活水準と発言権において劣悪なワーキングプアになっている」ことを格差社会の所以としていて、わたしは今まで発言権まで考慮したことがなかったのでハッとしました。労働者たちの「そうせざるを得ない環境」まで考察されていたり、フリーターが燃えつきた正社員の明日だと表現したりしていて熊沢さんらしいと思いました。能力による差別よりも社会的差別の方が打ちのめされない、というのも共感できてしまいます。「能力主義的な競争と選別がどれだけ人間を孤立化させるか」ということまで書かれていたのが良い。2017/07/13

魔いん

0
官庁格差のところは必要だったのかこれ・・・2013/12/09

はにゅ

0
岩波新書でもルポルタージュ形式で格差問題を取り扱ったものが増えてますよね。こっちは結構学問的な内容だった。2007/07/28

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