内容説明
哲学における“目的論”概念を現代に生かすべく『判断力批判』を考究する研究書。錯綜した構成をもちながらも、その豊かな内容と多面性とのゆえに今日いっそう重要性を増している『判断力批判』は、カントの思想を理解するうえで焦点となるものである。本書は、この、三批判書中最も謎に満ちたカントの著作を目的論研究の視点から丹念に分析するとともに、ときに内在的な読解を越えて、現代の哲学や科学との接点をとらえることで、『判断力批判』の新しい読み込み地点の提示を試みる。
目次
序論 なぜ、今、カントの目的論なのか
第1章 目的論の諸相
第2章 『判断力批判』以前のカント哲学における目的論の位置
第3章 『判断力批判』の体系的位置―二つの序論の検討
第4章 美的(直観的)判断力の諸問題―構想力の展開として
第5章 実現されなかった目的論
第6章 有機体の合目的性と世界の合目的性
第7章 反省的判断力と合目的性
第8章 反省的判断力と生命科学
第9章 世界の究極目的
著者等紹介
佐藤康邦[サトウヤスクニ]
1944年東京生れ。1973年東京大学大学院人文科学研究科博士課程単位取得退学(倫理学)。東洋大学教授を経て、東京大学大学院人文社会研究科(倫理学)教授。哲学・倫理学
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