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尾崎翠 砂丘の彼方へ

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  • サイズ B6判/ページ数 441p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000224055
  • NDC分類 910.268
  • Cコード C3095

出版社内容情報

代表作「第七官界彷徨」を含む一連の作品を発表して、彗星のように消え去った作家尾崎翠とは何者であったのか。作品世界に注がれた水脈を、同時期の文芸思潮に照らして精緻に読み解き、斬新な作家像を呈示する。

内容説明

聴覚や嗅覚の世界を巧みに表現する特異な言語感覚で知られ、代表作「第七官界彷徨」を含む一連の作品を発表後、彗星のように消え去った作家尾崎翠とは何者であったのか。彼女の作品世界に注がれたさまざまな水脈を、同時期の文芸思潮に照らしながら精緻に読み解くことで、斬新かつ厚みのある作家像を時代のなかに呈示する。

目次

第1章 歩くことと書くこと―初期散文から「歩行」まで
第2章 兄の知と妹の変奏―ナンセンス・ユーモアの方へ
第3章 めくるめく「七」の世界―「第七官界彷徨」
第4章 転生する「小野町子」
第5章 読む女、書く女、書かれた女
おわりに―柔かい海

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

take0

2
「彼女は書き残したテキストによっても、その沈黙によっても、神話化されて現在に至る。けれども、そろそろ、脱神話化の試みがなされてもいいのではないだろうか。尾崎翠を読むこと、批評的に読むことは、尾崎翠を神話から解放し文芸史のなかに位置づけ、彼女を再生する実践である。」そう宣言し、尾崎翠の作品に表だって或いは密やかに、時にはそうと分からないように織り込まれた先行するテクストや、同時代の思潮を探ってはそれらへの補助線を引いていく。2018/10/13

西北の微風

1
唯識が、仏教における心理学や現象学、進化論、遺伝学の受け皿になっていたという指摘は興味深かった。砂丘の砂の一粒にも宇宙があるというのは華厳の思想かなと連想。モダニズム表現の読み方に転換がもたらされつつあるという予感。砂の数ほどとはいわないが、☆はあげたい労作。2010/10/10

蘚と苔

1
尾崎翠という一人の作家の驚くべき変貌と成長。その陰にあったたえざる読書と知的好奇心。貧しくとも新しい文化の刺激を常に受け入れ、与えられ押し付けられた「カノン」(正典、古典)を我がものにし作り替え書き換え女性として格闘し続けた壮絶な作家人生。しかもその壮絶な楽屋裏をあらわにせずに、表に出されたテクストのたおやかで、笑いと哀愁に満ちていること。その秘密に迫るいい本を読んだ。星はやっぱり7つでいきましょう。☆☆☆☆☆☆☆。2010/10/01

greenboy

1
「尾崎翠」を巡るささやかな論争が気になって読んだ。研究者の蓄積というものはある意味探偵小説のように恐ろしい。掌をさすように、尾崎翠の知的な成長と、思想的水脈、読み書きの環境が現前する。尾崎翠理解の試金石であり、不毛な論争のいくつかをすっきりと終焉させる力ある一冊。2010/09/25

のあのあ

1
最近ちょっとしたことから、「尾崎翠」ってほんとうはしっかり読まれてもいないし、まともに研究されてもいないのだろうかと、危惧することがあった。でもここには一過性の新奇なもののアピールではない、ていねいな「読み」の成果がある。尾崎翠の言葉のひとつひとつはたんなる思いつきではなくて、背後に豊かな文脈や思想の宇宙をやどしているのだ。少しずつ読んで勇気を蓄えたい一冊。2010/08/27

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