ヴォルテールの世紀―精神の自由への軌跡

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  • サイズ B6判/ページ数 471p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000222105
  • NDC分類 135.3
  • Cコード C0022

内容説明

「考える自由は人間の生命です」―絶対王政が崩壊に向かい、革命への予感が兆す一八世紀フランスにあって、ヴォルテールと名乗った男は、そう記した。生涯にわたって文化的に、そして政治的に巨大な存在であり続けたヴォルテールは、古代から同時代に至る文学・思想・芸術の圧倒的な教養を背景に、宗教権力や盲信と闘い、農奴解放のために奔走し、ついにはフランスの僻地フェルネーに共同体を建設する。彼を「ヴォルテール」たらしめたもの、それは「人間の生命」である精神の自由にほかならなかった。本書は、パリを追放され、ベルリンの宮廷に招聘されたヴォルテールがプロシアを離れて以降の後半生を、一万数千通に及ぶ書簡を渉猟しながら克明に描き出す。そこに刻まれた激しくも伸びやかな軌跡は、この世紀のヨーロッパが生み出しえた最良の精神を今日に甦らせる。

目次

序にかえて―ヴォルテールの晩年が始まるまで
1 彷徨―祖国を追われて
2 隠棲―ジュネーヴ、交友と反目
3 戦闘―「醜類を踏みつぶせ」
4 父娘―コルネイユ嬢を養女に迎えて
5 寛容―狂信と嵐とカラス事件
6 訣別―ルソーとの確執
7 饗宴―金時計と絹の靴下
8 彫像―生きている長老を称えて
9 解放―革命への序曲
10 帰還―凱旋、栄光、そして死

著者等紹介

保苅瑞穂[ホカリミズホ]
1937年生まれ。1961年東京大学文学部フランス文学科卒業。1968年東京大学大学院人文科学研究科博士課程中途退学。東京大学教養学部教授、獨協大学外国語学部教授などを歴任。専門:フランス文学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

うた

6
期待に違わず面白かった。18世紀を駆け抜けた一文人ヴォルテールの生涯を、彼の手紙をもとに再編したエセー。物語の本編は60歳前後から始まっているのだけれど、ヴォルテール老いてなお猛し。カラス事件をはじめとする不寛容を象徴とするような訴訟について活動するかたわら、演劇を創作し、投資でお金をかせぎ、社交にも精を出す。さらに手紙のやり取りも欠かさない。この書簡集がとても良い。簡潔でありながら自然なユーモアを忘れず気品もある。気が付くと彼に心惹かれているのだ。楽しい時間を過ごさせてもらった。2014/02/10

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