生き延びるための思想―ジェンダー平等の罠

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  • サイズ B6判/ページ数 277p/高さ 20cm
  • 商品コード 9784000221511
  • NDC分類 367.2
  • Cコード C0036

内容説明

「男女共同参画」でフェミニズムの課題は解決するのか。そもそもフェミニズムとは何か。「男なみ」をめざすことで袋小路に入り込んでしまった(リベラル)フェミニズムの思想的な落し穴を指摘し、国家暴力と対抗暴力とを問わず、社会のなかの暴力的な構成=男仕立ての「死ぬための思想」を根源的に批判。国家、暴力、ジェンダーという問題系をめぐる近年の議論を再構成し、「弱者が弱者のままで尊重されることを求める思想」としてのフェミニズムの立場から、人間らしく生きるために今なにが問われているのかを明晰に論じる。幅広い活動を展開する著者の問題関心を結節するとともに、その思想的な中核を浮彫りにする重要な一冊。

目次

1 市民権とジェンダー―公私の領域の解体と再編
2 女性兵士の構築
3 対抗暴力とジェンダー
4 「プライバシー」の解体―私的暴力と公的暴力の共依存をめぐって
5 記憶の語り直し方
6 「民族」か「ジェンダー」か?―強いられた対立
7 ナショナリズムを超える思想
8 「国民国家」論の功と罪―ポスト国民国家の時代に『国境の越え方』を再読する
9 銃後史という思想
10 アジア女性基金の歴史的総括のために
補論 生き延びるための思想

著者等紹介

上野千鶴子[ウエノチズコ]
社会学者。1948年富山県生まれ。京都大学大学院博士課程修了。東京大学大学院人文社会系研究科教授(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

GX

10
著者は先日NHKで放送された「最後の講義」に出演していました。受講者との質疑応答がとても印象的でした。見逃した方は、NHKプラスでまだ視聴できますので、ぜひ、ご覧になってください。そのなかで、この本が紹介されています。この本のなかで語られているいろいろな問題は、今でもますます大きな課題になってきていますね。アンチの多い人だと思いますし、男性だけでなく、女性からの反発も多いと思います。そんなことは、全く気にしないで、切れ味が鋭く、自分の立場を明確に述べる姿はかっこいいですね。2021/05/08

amanon

5
乗り越え難い性差の壁。しかし、壁があるからといって、その一方が不当な立場に甘んじることが許されるわけではない。しかし、長い間それが罷り通ってきたという重い事実。かといって、米軍における女性兵士の存在に顕著なように、男女差を無くすかのようなあり方も、それはそれで歪みが生じる…男性女性というより、個々人が個々人らしく生きることができるにはどうすればいいのか?問題はそこに行き着くのかも。個人的には「命より大切なものがある」という考えを是とする立場なのだが、それに否を唱える著者の立場にも一考の価値があると思う。2020/11/14

akubineko

4
WANというサイトで、同題の講演を聴き読んでみた。男女共同参画を行政が施策としてやりはじめてから民間のフェミニストの声が聞こえなくなり、男女共生が急激につまらなくなった。その原因、私が感じていた違和感がはっきりした。即ち「男並みの女は男社会に入れてやるよ」というのが、ネオリベの中の男女共同参画だったのだ。その中で女が生き延びるための思想がフェミニズムなのだ。私が私の言葉で私を語り、社会に異論を突きつける。なんか変だと思うけれど、変の基が解らない女の人は読むと良いね。そして社会変革の主人公は私自身だと、気付2011/10/14

吉枝麻芽

3
海外出張へ行く夫の鞄にコンドームを入れる妻~と言う下りで、被害者のつもりで耐えていることが、実はさらなる弱者への加害者になっているということを気づかされた。なんかブラック企業で耐えている先輩社員が被害者のつもりで、新入社員への加害者にもなっているんかな、と思ったり。2014/11/29

うさえ

2
2005年時点での上野フェミニズムの到達点が、わかりやすくまとまっている。巻末のインタビューもよい2009/09/13

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