出版社内容情報
誰もが知っているものなのに,いざとなると定義が難しい「小説」.古代ギリシアの散文からロビンソン・クルーソー,西鶴,カフカ,ロブ=グリエ-変幻自在にスタイルを変える小説の魅力に,「物語」を補助線に迫る.
内容説明
小説というジャンルは由緒正しいものでは決してなく、むしろ「やくざ」な生まれである―最もポピュラーなジャンルでありながら、定義づけを逃れ続ける「小説」。様々なタイプのテクストを包摂しつつ、変幻自在に形を変えながら、時代を超えて生き延びる、小説とは何か?「物語」を補助線に、その生命力の核心に迫る。
目次
物語から小説へ(ギリシア・ローマの小説;平安時代の「物語」と物語文学;西鶴―経済社会の小説;『ロビンソン・クルーソー』と小説の生成;フランス近代小説論―取捨選択のドラマ)
小説の成熟(小説の身体―一九世紀ロシア小説における“作者”と“主人公”;ドイツ二〇世紀小説にみられたある感受性の革命;東アジアにおける魯迅;二〇世紀「アメリカ」小説論―フォークナーとピンチョン;ラテンアメリカ文学―小説、起源への回帰)
語りの変容(近代小説における“語り”の問題―谷崎潤一郎『卍』を手がかりとして;自伝のかたち―「わたし」と「記憶」をめぐって;ヌーヴォー・ロマン論―虚構の運動をめぐって)