岩波ブックレット
「個性」を煽られる子どもたち―親密圏の変容を考える

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  • サイズ A5判/ページ数 71p/高さ 22cm
  • 商品コード 9784000093330
  • NDC分類 367.6
  • Cコード C0336

目次

1 親密圏の重さ、公共圏の軽さ―子どもの事件から見えるもの(親密圏における過剰な配慮;公共圏における他者の不在;「つながり」に強迫された日常)
2 内閉化する「個性」への憧憬―オンリー・ワンへの強迫観念(生来的な属性としての「個性」;内発的衝動を重視する子どもたち;「自分らしさ」への焦燥)
3 優しい関係のプライオリティ―強まる自己承認欲求のはてに(「自分らしさ」の脆弱な根拠;肥大化した自我による共依存;純粋な関係がはらむパラドクス)

著者等紹介

土井隆義[ドイタカヨシ]
1960年生まれ。筑波大学大学院人文社会科学研究科助教授。社会学専攻。大阪大学大学院人間科学研究科博士後期課程中退
※書籍に掲載されている著者及び編者、訳者、監修者、イラストレーターなどの紹介情報です。

感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

センケイ (線形)

9
関心の対象が多様化したことを受けて、その共通基盤のなさを表面上批判しあわない関係でカバーする必要が出てきた、という分析が一貫されており、鋭い。個性の希求は、その関係において「見られない」ことを防ぐ材料、あるいは少なくともそのように見えることで行われていく。現代の人間関係の問題や若者の行動理由をやや断定的に書きすぎている点が若干気になりはしたが、若者の人間関係が近年の消費社会的な動向からどのような影響を被っているか、説明の一つとしてクリアに理解することができた。2020/09/30

ゆえじん

8
終わりなき日常を生きる子どもたちは、歴史に対する感覚を失うから社会的な想像力も失う。終わりなき日常は物質的欲望が飽和したあとの世界だから、個性の探求という新たな欲望へと向かう。個性は他者との比較によって成り立つ社会的なものだから、個性の探求は社会的な想像力なしには失敗に終わる。友人との人間関係の重さは、子どもたちが相互に承認を与え合っていることを示しているが、「一般化された他者」という社会的な根拠がないので、友人関係は親密であるにもかかわらず不安定である。というのが本書の大筋。かなり批判的に読んだ。2019/03/07

キヨミズ

7
これ、とてもわかる。ぞくぞくした。私達10代の悩みと苦悩と葛藤がどうも著者は上手く言葉している。よくなにかの判断基準に社会のせいにするなというけど笑わせてくれる。まぁ、なにが私を笑わせるかはおいといて、著者は本当に素晴らしい。なにも知ろうとしない大人、知らない大人が子どもを侮蔑するなと表した文章は鳥肌がたった。しかし一貫して偏った意見を持っていないところが共感を抱ける。子どもの両親、他人、教師への拒否的反応についての真相心理は的を得ていて読心術をかけられたような気味悪ささえ感じた。2015/09/04

shishi

7
[A]近頃の子どもたちの友人関係と自己イメージのあり方をコンパクトに論述。内向的で「やさしく」感覚的で差異を覆い隠すがゆえに、重く子どもたちを苦しませる人間関係がありありと説得力を持って描かれている。みんながみんな本書のような子どもたちであるわけではないけど、共感したり心当たりがあったりする人も多いのではないか。2013/12/07

ゆうゆう

6
2004年の刊行。う~ん、わかるような、わからないような、いや、わかりたくないのか。親密圏の重さ、公共圏の軽さ、オンリーワン「自分らしさ」探し、素の自分の表出で悩む…コミュニケーションで悩む、人間関係は難しい。神戸や佐世保の事件は、子どもだから極端な方向に行ってしまったのか。教育の問題なのか、養育の問題なのか、社会の問題なのか…全部なんだろうなぁ。2018/12/11

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