感想・レビュー
※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。
inenoha
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自然科学,特に物理学の方法論・認識論・存在論を検討し直すことを通じて,素朴実在論を擁護しながら,人間をも含んだ自然科学的世界像へと至るための道筋を構想する.著者はウィグナーや荒木不二洋とともに量子力学的測定について研究した人物であり,観測問題に関する記述は簡にして要を得ている.また,時空概念は相対性理論によって変革を余儀無くされ,存在は時空中の特定の一点ではなくある程度の広がりを占めていることから,エヴム(永在性)なる中世哲学のアイディアが有効ではないかと著者は提案している.2018/08/30