内容説明
現象を数理モデルで表現・説明するのに慣れていない人のために、章ごとに異なる例題を解決していく過程を通して、統計モデルの基本となる考えかたを紹介する。前半では、応用範囲のひろい統計モデルのひとつである一般化線形モデルの基礎を、後半では、実際のデータ解析に使えるように、階層ベイズモデル化する方法を、RとWinBUGSの具体例を用いて説明する。
目次
第1章 データを理解するために統計モデルを作る
第2章 確率分布と統計モデルの最尤推定
第3章 一般化線形モデル(GLM)―ポアソン回帰
第4章 GLMのモデル選択―AICとモデルの予測の良さ
第5章 GLMの尤度比検定と検定の非対称性
第6章 GLMの応用範囲をひろげる―ロジスティック回帰など
第7章 一般化線形混合モデル(GLMM)―個体差のモデリング
第8章 マルコフ連鎖モンテカルロ(MCMC)法とベイズ統計モデル
第9章 GLMのベイズモデル化と事後分布の推定
第10章 階層ベイズモデル―GLMMのベイズモデル化
第11章 空間構造のある階層ベイズモデル
著者等紹介
久保拓弥[クボタクヤ]
1969年生まれ。1998年九州大学大学院理学研究科生物学専攻博士後期課程修了。博士(理学)。現在、北海道大学地球環境科学研究院環境生物科学部門助教。専門は、生態学のデータ解析に関する統計学的方法の研究と実際への応用(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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まろにしも
16
具体的な例題と分かり易い図表により、各論は分かったつもりになった。にもかかわらず、このテキストのミソの部分、ベイズ統計モデルによるパラメータの事後分布推定⇒その事後分布からのMCMCサンプリングによる事後分布推定が、私の頭の中ではまだうまく繋がっていない。2020/05/25
オザマチ
12
再読。統計学の本を読むと、最初に種々の確率分布の式や条件付確率の式を大量に並べられて苦しむことが多いが、この本の場合はサンプルデータに対するモデルの「当てはめ具合」と「なぜ当てはまるのか、なぜ当てはまらないのか」を丁寧に解説してくれるので、とっつきやすい。2021/04/30
オザマチ
11
例題を一段階ずつ複雑にしていき、なぜその例題にその手法を使うのか?を丁寧に説明してくれているので、非常に分かりやすかった。数式は最小限で演習問題もないので、それぞれの理論を深く学ぶためには、参考文献を参照する必要がある。2019/12/15
Taizo
10
そのテの界隈ではバイブルとでもいうべき有名な本。コードや図解が多いので、分厚さの割に分量的にはちょうどいい。エッセンスが詰まっていてかつ、わかりやすい。なるほどこれはいい本だ。手を動かせるのもありがたい。今まで自分がいかに何も考えず直線でフィットし、出てきた係数を「ゆーい」と言うだけであったかがわかる。統計に関して少し理解があれば読めると思う。要求される数学のレベルは高くない。むしろ統計的思考法が要求される感じだ。 少し古いのでコード部分はpythonなどを使って自分で実装するのもいいかもしれない。2019/09/19
月をみるもの
9
長年積読だったのをようやく読了。むかし「道具としてのベイズ統計」を読んだ時に抱いた疑問のほとんど(「なんで事前分布を、この関数だと仮定すんの?」とか「個体差のモデル化で、無情報事前分布と階層事前分布をこう組み合わせるのはどうして?、、とか)が氷解した。P値論者への批判も面白い:http://tjo.hatenablog.com/entry/2016/03/08/1900002017/10/23