ヒトラーと物理学者たち―科学が国家に仕えるとき

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  • サイズ B6判/ページ数 401,/高さ 19cm
  • 商品コード 9784000058872
  • NDC分類 420.28
  • Cコード C0040

出版社内容情報

権力や名声には無関係と思える科学者たちが、政権に奉仕することになるのはなぜか。人間の弱さを問う。

内容説明

権力や名声には無関係と思える科学や科学者が、結果として政権に奉仕することになっていったのはなぜか。プランク、ハイゼンベルク、デバイという三人の著名なノーベル賞学者を中心に、最新の資料や新証言から見えてくる人間の弱さ・したたかさを徹底的に問う。彼らはいったい何を守ろうとしたのか。それは過去の話ではない。

目次

手の汚れたノーベル賞受賞者
可能なかぎり保守的に
物理学は再建されなければならない
何か新しいものの始まり
知的自由は過去のこと
科学に仕えることは国家に仕えること
北欧科学は見込みがありそうだ
流れに逆らって泳ぐことはできない
手が死んでいる!
科学者として、あるいは人間として
未知の破壊力
ハイゼンベルクはほとんど黙っていた
われわれはそのふりをしていただけなのだ
私たちは同じ言葉を使っていなかった

著者等紹介

ボール,フィリップ[ボール,フィリップ] [Ball,Philip]
サイエンスライター。『ネイチャー』誌のコンサルタント・エディター。『ネイチャー』、『ニュー・サイエンティスト』など、複数の雑誌に科学全般について幅広い執筆活動を行なっている。オックスフォード大学を卒業し、ブリストル大学で、物理学の学位を取得

池内了[イケウチサトル]
総合研究大学院大学名誉教授、名古屋大学名誉教授、理学博士。専門は宇宙論・銀河物理学、科学・技術・社会論

小畑史哉[オバタフミヤ]
翻訳者(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー

※以下の感想・レビューは、株式会社ブックウォーカーの提供する「読書メーター」によるものです。

まると

21
世界に名立たる3人の物理学者は、ナチスを毛嫌いしながらも、政治的には中立を貫いたがためにヒトラーの犯罪を許す結果を招いた。権威主義、民主主義のいかんにかかわらず、為政者に絡めとられやすい科学者に特有の習性は、現代にも通じる大いなる教訓を示している。アインシュタインが反ユダヤ主義の物理学者たちと激しく対立したのが、ヒトラーが政権を取る以前の話だったというのも初めて知った。著者はネイチャーの元編集長。サイエンスライターとしての素養があるだけに、多くの文献や証言を慎重に検討し、謙虚に妥当な見解を導き出している。2022/12/13

塩崎ツトム

5
ドイツ人の国民性、科学者の持つ俗悪性、一人一人の持つ権力や、政治に対する無力さ。とにかく、ナチス・ドイツに対する「なぜ?」の答えが、本書だけでも幾重にも重ね塗りされている。それとどうしてもアイヒマンの「私の罪は、職務に忠実すぎたことだ」という言葉が何度も脳裏をよぎった。2018/08/24

Hyos(元jpn1024)

5
政治・科学・軍事...これらは今日において不可分な存在である. これらが互いに密接に繋がることで時に悲劇(毒ガスや原爆による殺傷)が起き,時に民生品の充実(GPSによるカーナビ性能向上など)がもたらされ,その他にも様々な影響が我々に及ぶ. 本書では物理化学者デバイに焦点を当てている. 本書に記されているナチスドイツの暴走(人体実験やそれに伴う虐殺)からは,「科学者が自分を非政治的立場と認識するのは控え,自身の科学的研究が政治の暴走に繋がらないように強かであらねばならない」というメッセージが伝わってくる.2018/01/22

みのかさご

3
新聞の本紹介に出ていて、面白そうと読んでみたが、難しい!昔やった物理の、単位や定理の名前がいっぱい出てくる。量子論も懐かしかった。物理の知識はもちろん、ドイツの歴史にも明るくないと分からなくなる。なんとなくいいたいことは、分かった。戦争や差別って、客観的に見たり、過去として振り返れば、否定できるけど、当事者だったり、進行形の真っ只中にいたら、流れに逆らうことってできないんだってこと。常に、多角的に見て、客観性を保ちたい。2017/08/03

belier

3
物理学者がナチスとどう関わったか。この本では積極的にナチスに加担したわけではないが、ナチスを結果的に協力してしまった学者たちについて分析しいている。ハイゼンベルグに厳しいのが印象的。これまで読んだ本では当人の言葉をそのまま受け入れたものが多かったが、この本では細かく矛盾点を指摘している。ナチスに甘かった学者たちは自分にも甘くプライドも高すぎて、戦後になっても十分に反省してないように見えた。今を生きる市民として決して他人事ではない課題と思う。わずかな記述だったがナチスに抵抗した二人の学者の生き方は見事。2016/11/27

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