内容説明
「本書は、私の思索と実行の集大成である。」人の真似でなく、人から教わるのでもなく、自分で考えを作り、ゼロから新しいものを生み出す。失敗学の提唱者である著者が独自に到達した、創造のための具体的手法を解説する。
目次
1 問題提起―いま日本で何が起こっているか(すべての産業の成長と衰退;日本における機械関連産業の生産量の推移 ほか)
2 失敗学のすすめ(失敗の必要性;失敗を生かす ほか)
3 創造学のすすめ(技術の獲得;設計手順と設計者の頭の中 ほか)
4 考えを作る(新しい考えを構築する手法;思考の展開 ほか)
5 緊急提言―3現に学ぶ(現地・現物・現人(げんち・げんぶつ・げんにん)
暗黙知を表出し共有せよ ほか)
著者等紹介
畑村洋太郎[ハタムラヨウタロウ]
1941年生まれ。工学院大学グローバルエンジニアリング学部機械創造工学科教授。東京大学名誉教授。畑村創造工学研究所代表。専門は、創造的設計論、失敗学、知能化加工学、ナノ・マイクロ加工学、医学支援工学(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)
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感想・レビュー
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えちぜんや よーた
61
社会全体が、今日の食べ物や寒さをしのぐ衣服も 満足にもてない状況であれば、モノの大量生産が必要です。 「目の前の仕事に集中しろ!」というフレーズは、 使い勝手が良かったかもしれません。 しかし、衣食住が一定水準以上に満たされたあとはどうでしょうか? 実は、本書に書かれている内容は、 規模の経済だとか、特化による利益、分業 などという言葉とは、正反対の知見が記されています。 「文系」とか「理系」といった分野に関わらず、 「思考のタコツボ化」について心当たりの方はぜひ。 2013/03/12
masabi
9
【概要】良い設計を生み出す創造とその過程で避けては通れない失敗からどう学びを得るかを解説する。【感想】工学系の学生・技術者が想定読者なので、具体例もそれに倣うが考え方は活かせそうだ。失敗の現物を残して博物館・体験館とする筆者の構想は実現してほしい。試行錯誤の結果が綺麗な成果物として世に出るが、結果に至る過程を残してこそ結果が成功にしろ失敗にしろ他人にとって良い学びの教材になる。成長したいなら手を動かして試行錯誤するしかないという身も蓋もない結論になるが。2023/04/18
KNJOB
4
技術屋だけではない、どんな人にも当てはまるとても大事なことがかかれていました。実例を基に現地現物現人で、得られた知識や経験を惜しみ無く拝見できる、素晴らしい本でした。 特に暗黙知に関する記述や、個の独立を確立した上で集団で共有すること。技術をむしり取ることにより人は成長するという図解はとても腑に落ちる内容でした。 失敗学の大家といわれる著者だけど、本来やりたいことは創造学であり、世の中の人が求める失敗学と本人がやりたい創造学を共に探求していく姿勢に心打たれました。2021/01/17
人生ゴルディアス
4
シッタコッチャナイ、みたいな昭和のユーモア全開の文章センスにんぬーとなりつつ、書いてあることは勉強になった。起こる可能性のあることはいつか必ず起こる、と言われる失敗について、どう起こさないようにするか、どういうことが原因で起こるか、みたいな分析。とはいえこの先生の見聞きできる範囲で集めた事例分析なので、できればこの先生の志を継いだ若手研究者がグーグル級のデータ収集から失敗学を再構築してほしいなと思った。2019/06/26
いえのぶ
3
東京大学と工学院大学で教鞭をとってきた著者の総まとめ的な内容。設計者を目指す学生や実務で設計している人にはぜひ読んでほしい。☆☆☆2011/06/18